日本語の品書きが並ぶインド・グルガオンの「くふ楽」本店。

2019年8月号記事

現地ルポ

「日本式勤勉」で駆け上がるインド

「働かない改革」で日本は大丈夫?

急成長するインドには、勤勉に働く人々の姿、そして、彼らを支える現地の日本人の姿があった。

(編集部 片岡眞有子、山下格史)

グルガオンにある巨大モール。スターバックスやハーゲンダッツなど外資系の店舗が立ち並ぶ。

「イラッシャイマセ!」

のれんをくぐると、元気な掛け声が迎えてくれた。

ここは、日系企業が立ち並ぶインド北部の経済都市・グルガオンにある、居酒屋チェーン「くふ楽」本店。日本のKUURAKU GROUPが展開するくふ楽は、デリーやチェンナイなどに支店を構える人気店だ。

土曜日の午後6時過ぎ、店内は日本人客でにぎわっていた。予約しないと入れないほどの繁盛ぶり。10人を超えるインド人従業員が、厨房やフロアを所狭しと動き回り、次々と舞い込む注文をさばいていく。どの従業員の顔もはつらつとし、この店で働くことに誇りを感じているように見えた。

一昨年、英金融大手のHSBCが、インドは2028年までに日本とドイツのGDPを抜く可能性があると指摘した。50年には中国に次いで世界第2位の経済大国になると予想する調査もあり(下図)、その時日本はインドネシアやブラジルなどにも追い抜かれ、世界8位にまで転落するという。日本政府は「働き方改革」を進めるが、休むことを押しつける「働かない改革」になっている。勤勉・勤労の精神を取り戻すべきだろう(本誌8月号50ページ参照)。

急成長するインドを訪れ、インドと日本の「働き方」について考えた。

〈左〉インドでは、牛が神様の乗り物として大切にされている。画像:Matyas Rehak / Shutterstock.com
〈中〉グルガオン周辺に立ち並ぶ、近代的なビル。
〈右〉笑顔を見せる、くふ楽グルガオン本店マネージャーのカナさん。

次ページからのポイント

おもてなしの心を生んだ・ヒロハマ・インディア社長 本多康二郎氏

カーストを乗り越えた情熱・元インド住友商事社長 中島敬二氏

時間厳守を浸透させた成功例・JICA 松本勝男氏

日本政府の「働かせない改革」