《本記事のポイント》

  • 日本の民間企業のロケットが宇宙空間に到達の快挙
  • JAXAの予算などは少ないが、日本の宇宙技術は世界最高レベル
  • 官民の連携で宇宙産業に投資することが、日本の発展につながる

実業家の堀江貴文氏らが出資する宇宙ベンチャー・インターステラテクノロジズ(IST)の小型ロケット「MOMO(モモ)」3号機が、4日午前5時45分、北海道大樹町の発射場から打ち上げられた。

ロケットは数分後、高度100キロの宇宙空間に到達。民間で開発したロケットの宇宙空間到達は日本初で、打ち上げを見守った関係者や見物客からは大きな歓声が上がった。

MOMOは全長9.9メートル、直径50センチ、重さ1150キロの液体燃料ロケットで、過去2回の打ち上げに失敗。今回の成功は、まさに3度目の正直となった。

アメリカでは、宇宙開発ベンチャーのスペースXやアマゾンとの間の競争が激しくなっている。ISTも小型衛星の打ち上げ事業への参入を目指し、今回の成功で大きな一歩を踏み出した形だ。

日本の宇宙技術は世界最高レベル

人工衛星の実用化に成功すれば、高速インターネットを世界中に提供することができる。スペースXは、5月にも人口衛星を打ち上げると報道され、米NASAも民間企業の宇宙開発を支援し、連携を強化している。アメリカでは、宇宙産業は、国を挙げての一大プロジェクトとして位置付けられている。

一方、日本のJAXAの予算は、NASAの十数分の1にすぎない。日本の宇宙産業は、アメリカなどと比べて遅れていると言われて久しいが、『平和宇宙戦艦が日本を変える』などの著書を持つ明海大学名誉教授の杉山徹宗氏によれば、日本の技術は世界最高レベルで、世界の軍事拡張や紛争を止める「平和宇宙戦艦」の建設が可能だという。

本誌5月号 の地域シリーズ「鹿児島から、日本を守る。」で紹介したが、例えば長距離レーザー砲。レーザー砲は弾道ミサイルを無力化でき、他国からミサイルが発射されても撃墜できる。

杉山氏は、「レーザー砲を宇宙戦艦に設置すれば、世界中どこから攻撃されても、無力化できます。これは世界の紛争を止められるほどの力を持つでしょう」と語る。

宇宙産業は日本の発展もけん引する

レーザー技術は、軍事以外にも転用できる。宇宙から地上の湖などに近赤外線レーザーを照射して水素を発生させると、電力を得られる。実用化できれば、再稼働がなかなか進まない原子力発電や、石炭や天然ガスなどの莫大な燃料を必要とする火力発電に頼らなくて済む。

レーザー技術は、花粉やPM2.5などの無力化も可能。さらにサリンなどの毒物も無力化する力を持っている。日本の技術をもってすれば、レーザー技術の開発は実現できると杉山氏は語る。

宇宙開発の技術は、国防力を強化するばかりか、私たちの日常生活をもっと便利で豊かにする可能性を有している。

今回の打ち上げ成功は、日本の宇宙産業の未来を拓く第一歩といえる。政府は、このような民間企業のチャレンジを規制緩和などで後押しし、民間と連携して宇宙開発を進めれば、日本の発展を大きくけん引できるだろう。

(駒井春香)

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