17日付サンケイビジネスアイは、東日本大震災による経済的損失について、民間エコノミストの試算を報じている。それによるとインフラ損壊による経済的損失は約15兆円との見方が多く、95年の阪神大震災での約10兆円を上回る見通しだという。

地震や大津波が広範囲に及んだためだが、いまだに不確定要素も多く、目下最大のリスクと見られている福島原発の事故の影響も踏まえられていない。また計画停電の影響や金融市場の動向などにより、長期的な経済全体の損失はさらに膨らむ恐れがある。

従って、相当な復興資金が必要とされることは確かだ。

しかし、財政赤字を心配するあまり、増税案が出始めていることに驚く。17日には日経新聞までが「日本経済研究センター緊急提言」として、5兆円以上の「復興税」の導入を訴え始めた。正気とは思えない。飢饉の時に農民の年貢の取立てを増やすのは暴政以外の何ものでもない。そんなことをすれば、ただでさえダメージを受けている経済活動が、さらなる打撃を受けることになる。

とにかく今は、国債であれ何であれ、紙幣を刷って市中に流すことが大事だ。円高、デフレ対策にもなる。緊急事態にあたっては、政府の懐よりも、民の懐を温かくすることに専念すべきだ。民の懐が温かくなれば、やがて政府の懐も温かくなる。それまでの時間に耐えることこそ、今最も大事な政府の仕事なのだ。(村・由)

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