2019年2月号記事
トランプvs.習近平
2019年を「南シナ海」で読み解く
来年の世界情勢は、やはり米中の対立が中心だ。
両国は貿易の関税問題では妥協できても、南シナ海問題は譲れない一線となっている。
その問題から来年の流れを見据えたい。
(編集部 山本慧、長華子)
contents
トランプvs.習近平 2019年を「南シナ海」で読み解く
会話に入れず、手持ち無沙汰の大男。中国の習近平国家主席は孤立していた―。
2018年11月末、世界のGDP9割を占める主要20カ国が集まるG20がアルゼンチンで開かれた。恒例の記念撮影で習氏はほとんど話しかけられず、各国首脳が距離をとる。世界が今、中国をどう見ているかを象徴していた。
G20で国際社会が注目したのは、米中首脳会談でアメリカが、19年1月から中国に対する関税を引き上げるかどうかだった。この問題は90日間の猶予を設けることで先送りとなる。
日米豪印が一帯一路に逆襲
2018年は「米中新冷戦」が起きた年と言われている。主に経済問題が注目されたが、実はアメリカなどが、中国の経済圏構想「一帯一路」に反転攻勢に出た年でもあった。
中国は一帯一路によって、アジア・アフリカ諸国に莫大なお金を貸しつけ、借金が返せなくなったら、その国の港を横取りする「債務外交」を行っている。
これに対し、日米豪印は「インド太平洋戦略」という旗印の下に団結した。バラバラで中国に対抗していたやり方を、インド太平洋戦略として統合し、アジアからアフリカにかけて、質の高いインフラを安い金利で整備し、一帯一路に反撃する。
要するに、サラ金から借りたお金を借りかえさせ、借金地獄に苦しむ国を助ける狙いだ。
米中のどちらと組むか
2019年に建国70周年を迎える中国は、4月の一帯一路サミットや6月の東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会談で、経済力を武器に支配圏を広げる。対する日米も、6月のG20、8月のG7でインド太平洋戦略への結束を呼びかけるだろう。イギリスの欧州連合(EU)離脱やアフリカ開発会議も控えている。
一帯一路とインド太平洋戦略がぶつかり、世界が真っ二つに分かれる2019年は、米中のどちらにつくかという「判断の時代」となる。その激戦地となるのが、米中が応酬を繰り広げる「南シナ海」だ。本特集では、日本の防衛に直結する南シナ海問題から来年の流れを読み解きたい。
Schedule for 2019
- 1月
- 米朝首脳会談?
日露首脳会談 - 3月
- イギリスのEU離脱
- 4月
- 一帯一路サミット
- 5月
- 新天皇即位
日米首脳会談
欧州議会選挙 - 6月
- ASEAN首脳会議
G20(大阪) - 7月
- 参院選
- 8月
- G7(フランス)
- 10月
- 消費税増税
2019年 南シナ海大戦前夜
米中衝突は必然か
南シナ海を狙う中国の野望