2019年1月号記事

Proposal

第75回

釈量子の志士奮迅

幸福実現党党首

釈量子

(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。

釈量子のブログはこちらでご覧になれます。

https://shaku-ryoko.net/


contents


「中小いじめ」の消費税を減税せよ

「消費税率の引き上げを前に、離島の中小企業が大パニックになっている」

島根県・隠岐島の中小企業から、悲痛な声が寄せられました。

「商品の税負担が増える上に、本土への送料も高くなる。ただでさえ少ない利益が、吹っ飛んでしまう」

政府は経済対策と称して、クレジットカードなどで代金を支払った場合、増税分をポイント還元する案を考えています。

しかしその経営者の男性は、「こんな片田舎で、カードを持ってうろうろしている人なんかおらん。うちのおかんなんて、キャッシュカードさえも持っとらんけん」と憤ります。

小規模な事業所にとってさらに深刻なのが「軽減税率への対応」です。その男性はこう嘆いていました。

「レジから会計ソフトまで、全部買い替えないといけない。何十万円もの出費がかさむ上に、仕入れ費用、事務処理、決算の仕方も変わるので研修を受けないといけない。軽減税率なんてしないでもらって結構だ」

少ない人手の中、ぎりぎりの状態で事業を回している人たちにとって、軽減税率は負担が増えるばかり。全く"軽減"にならないのです。

小さな商店を営むおじいちゃんおばあちゃんなどは、「もう無理だ」と、お店を畳むことを本気で考えているとか。

消費税が、小さな会社や地方の実情を無視する、非情な税金であることが分かります。

製造業などは下請けほど消費増税のダメージを受ける。

消費税は中小企業ほど痛い

実際に、従業員数の少ない企業ほど、2014年の消費税率引き上げのダメージが大きかったという調査結果もあります。

大企業の下請けは、税率が上がっても、製品代に乗せることは容易ではありません。「値上げするなら、他の会社に頼む」と言われてしまうためです。

中小企業に倒産圧力をかける消費税は、多くの人が自立する術を失わせます。

高齢者がお店を畳んでしまえば、仕事を通した生きがいを失い、年金頼みの生活を余儀なくされます。政府が掲げる「生涯現役」社会にも逆行します。

また、地方の住民にとって、近所の商店が消えることは死活問題です。車の運転ができない高齢者は「買い物難民」になります。それに対して、行政がタクシー券や交通機関への持ち出しを増やし、政府が地方創生の交付金をバラまくのでしょうか。

政府は、経済の活力を奪う一方、増税に向けた経済対策として、消費税収分の半分を還元することを重ねて表明しています。

「国」の形が変わっていく

自分で立つ力を奪い、福祉と称してお金をバラまく―。

消費税増税は、単なる経済問題を超えています。政府はいつの間にか、日本を「ゆりかごから墓場まで」の北欧型の福祉国家に変えようとしているのです。

「福祉国家」とは、自由な経済体制を維持した上で、政府が計画的に全国民に一定の所得を保障しようとするもの。

しかしすでに多くの福祉国家も、重税圧力に耐えかねた企業が海外に逃げ、国庫は空になっています。政府の強制的な所得の再配分と、許認可行政が、市場経済メカニズムを根底から破壊するのです。

私たち幸福実現党は立党以来、消費増税に反対してきました。それは、国民の自助努力の繁栄が、共産主義、社会主義、福祉国家の理想を超えるべく、道を切り開くべきであると考えるため。勤勉に働く人が意欲を失うような社会を、神仏が願うでしょうか。私たちは来年の増税を断固阻止し、5%への減税も実現させるべく戦ってまいります。