2018年11月号記事
第73回
釈量子の志士奮迅
幸福実現党党首
釈量子
(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
命を脅かす「脱原発」
北海道南西部で9月上旬、最大震度7の地震が発生しました。
犠牲となられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞い申し上げます。
今回の地震で日本中に大きな衝撃を与えたのが、北海道全域での大停電でした。電力需要の半分を賄っていた苫東厚真火力発電所が、配管損傷とボイラーの火災で停止。電力の需給バランスが大きく崩れ、道内295万戸が一斉に停電する「ブラックアウト」が発生したのです。浮き彫りになったのは、私たちの命や生活基盤のすべてが、電気で支えられているという事実でした。
「透析の患者さんは、急遽、電気の使える病院を探して対応してもらい、命拾いしました」
こう語るのは札幌市内の看護師。透析は3日以上できなくなると不整脈や心不全につながるため深刻です。
その他、病院内では、痰の吸引が必要な方は吸引器が使えず、苦しい数日間を過ごし、車椅子の方はエレベーターが丸2日間停止したため、身動きが取れなかったといいます。
札幌市内で運送会社に勤務する男性は「大停電で信号が使えなくなったので、丸2日間、配送がストップした。温度管理ができなかった食品は全て廃棄せざるを得なくなり、全ラインを消毒して通常通り出荷できるまで10日かかった。億単位の損害です」と肩を落とします。
夕張市のあるメロン農家は「収穫時期は温度管理に一番気を遣うのに、空調が使えなくなった。1日に何度もハウスのビニールを開け閉めして、なんとかしのいだ」と言います。
他にも観光や生乳生産などの基幹産業も大打撃を受け、道内の経済的損失額は、熊本地震の際の4.6兆円を上回るという試算も出ています。
停電を起こした「泊原発停止」
そんな中、「泊原発が稼動していれば、大停電はなかった」と指摘されています。
震源地から100キロメートル離れた泊原発付近では、観測された揺れは震度2。この程度では原子炉はびくともせず、停止する必要はありません。「燃料を冷やすための外部電源が喪失した」と報じられていますが、これは想定内の事態で、非常用のディーゼル発電機がスムーズに作動しました。
泊原発を止めていたのは、原子力規制委員会による不条理な審査です。「敷地内に活断層がないことを証明せよ」といった要求を北海道電力に課していましたが、これは「悪魔の証明」(無理難題)と言われています。仮に活断層があったとしても、それが原発の寿命である数十年内の大地震につながる確率は極めて低いのです。
規制委はこうした重箱の隅をつつくような審査を重ねますが、大停電で多くの命が危険にさらされたことについては、何の責任も取りません。
各地の原発が停まっているリスクは、北海道に限りません。
現在、東京電力は火力発電が9割で、そのうち74%が東京湾沿岸の発電所です。首都直下型地震などがあれば、あっという間に今回のような大規模停電を引き起こす可能性もあります。
それは「あるかどうかわからない活断層」よりももっと明白で差し迫ったリスクです。
柏崎刈羽原発6、7号機は安全審査を通っているので、国は慎重姿勢を見せる自治体を説得し、再稼動を急ぐべきです。
泊原子力発電所が停止していたことが、大停電につながった。写真:合同会社トレビス/PIXTA(ピクスタ)
政権は原子力規制委改革を
大川隆法・幸福実現党創始者兼総裁は、福島第一原発事故が起きた2011年3月の段階ですでに、「 単なる恐怖症によって原発を簡単に手放してはなりません 」(『 震災復興への道 』所収)と警鐘を鳴らしていました。
幸福実現党は、国民、マスコミ、政治家がなだれを打って脱原発に傾く中、さまざまな反発を受けながらも、震災直後から原発推進を訴えてきました。
規制委の体質も、原発が再稼動していない状態も、民主党政権の負の遺産ではあります。しかし安倍政権も今の状況を静観しているならば、その方針を事実上踏襲していることになります。当然、停電の責任も問われるでしょう。
規制委については、「審査方法が経済合理性、科学性に欠ける」「委員などの裁量の幅や権限が大きすぎる」「第三者が監視できない」といった問題が指摘されています。現政権は直ちに、規制委の審査の迅速化を促すとともに、中長期的にはその権限・組織を大幅に見直すべきです。
幸福実現党はこれからも、空気に流されず、必要なことを言う政治を目指してまいります。