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《本記事のポイント》

  • 国連安保理の場で、アメリカと北朝鮮が激しい応酬
  • 北朝鮮が核実験を行った場合、アメリカが武力行使に踏み切る可能性は70%
  • 金体制の崩壊を中国民主化につなげる

北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐり、国連安全保障理事会が15日、議長国の日本の呼びかけで開かれた。極めて緊迫した雰囲気の中、アメリカと北朝鮮の激しい応酬が繰り広げられた。

ティラーソン米国務長官は、「我々の、核武装した北朝鮮を受け入れないという決意は揺るがない」「北朝鮮と対話を始める前に、北朝鮮は挑発行為をやめる必要がある」と演説した。ティラーソン氏は12日に、「前提条件なしで北朝鮮と対話する用意がある」と発言していたが、それを修正した形だ。

一方、北朝鮮の慈成男(チャ・ソンナム)国連大使は「核兵器の保有は米国の核の脅威に対する自衛策として、避けることができない」と応酬。安保理の場に北朝鮮の大使が出席するのは、異例のことだ。

北朝鮮との戦争が近づいている

いつ、北朝鮮との戦争が始まってもおかしくないほど、情勢は緊迫化している。

14日付米紙アトランティック電子版には、米共和党の重鎮であるグラム上院議員のインタビューが掲載され、グラム氏は「トランプ政権が北朝鮮に武力行使を行う可能性は30%ほどだが、北朝鮮が7回目の核実験を行った場合、その確率は70%になるだろう」と語っている。

米国務省も、「今は明らかに対話の時ではない。北朝鮮への核攻撃も辞さない」と言明している。マクマスター米国家安全保障問題担当大統領補佐官も、「武力紛争以外の道もあるが、残された時間はあまりない」と指摘している。

アメリカによる脅しは、口だけでない。米韓軍は12月上旬、朝鮮半島周辺で大規模な演習を行っており、F22やF35など最新鋭ステルス戦闘機230機が参加した。当然ながら、朝鮮有事を想定した訓練だ。

米政府が北朝鮮を全力で圧迫している背景にあるのは、11月下旬の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15型」の発射成功だ。北朝鮮は、時間を稼いで核ミサイルを完成させ、核保有国の地位を既成事実化しようとしている。アメリカには、時間が残されていないという焦りがある。

最終的には朝鮮統一、そして中国の民主化へ

北朝鮮との戦争が起き、金体制が崩壊した後、その統治はどうなるのか。

韓国MBNが、中国によると思われる北朝鮮分割統治案を報じており、それは米中露韓4カ国で分割統制をするというものだった。

一方、米シンクタンク・ランド研究所も2013年、米韓と中国が北朝鮮を分割統治する案を提案。

国際政治学者の藤井厳喜氏は、米露中による3分割統治案を予想している。

しかし、仮に国連の監督下で一時的に他国による統治が行われたとしても、将来的には民主的な政権による朝鮮半島の統一を目指すべきだろう。

北朝鮮の生活レベルは低く、東西ドイツ統合と比べても、困難が予想されるが、自国は自国民で治めることが、朝鮮の人々にとっても幸福のはず。アメリカがリーダーシップを発揮し、ロシアとの関係を改善し、中国を抑え込めるかが、カギとなる。

さらに朝鮮半島、アジアの最終的な平和のためには、「北朝鮮の崩壊」を、「中国の民主化」につなげる必要がある。

衝突後のシナリオについては、本誌2017年12月号『「金正恩後」に起きること』でも特集しているので、参照されたい。(山本泉)

【関連書籍】

2017年12月号 『「金正恩後」に起きること』

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1942

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2017年12月3日付本欄 中国は北朝鮮を見殺しにする 北問題の次を見通す

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