《本記事のポイント》

  • アメリカ東部の首都圏でミサイルの被弾を想定に入れた訓練が行われた
  • 日本は首都圏での訓練や核シェルターの設置も遅れている
  • ミサイル発射を踏みとどまらせる国防の備えが必要

高まる北朝鮮の脅威を受けて、ワシントンDCを含むアメリカの首都圏で、弾道ミサイルの被弾も想定に入れた大規模な対ミサイル訓練が行われたと米各紙が報じた。

4月24日に行われたこの訓練は、災害やテロなど緊急時対応の責任者を対象としたものであり、単なる避難訓練のみならず、実際に負傷者や死者が出たことを想定に行われた極めて本格的な訓練だった。議員や警察、消防士に加え、犠牲者の役をするボランティアの人々や緊急医療機関など計数百人が参加した。

この訓練を計画したMetropolitan Washington Council of Governments(COG)の代表取締役であるスコット・ボッグズ氏は、「このように定期的に各々の能力を訓練することが常に想定される事態に対応できる一番の方法」と述べた。

同様の訓練はワシントン以外にもサウスカロライナ州、メリーランド州、バージニア州における6つの地域で行われる予定だ。

とはいえ、アメリカは日本に比べ、北朝鮮の攻撃を受けにくい環境にある。首都は北朝鮮のICBM(長距離間弾道ミサイル)の射程圏内に入っていない可能性があり、約6970発という世界有数の核抑止力を持つ。ミサイルへの迎撃能力も世界随一の水準である。

それにもかかわらず、最悪の事態に備えて、アメリカの市民・自治体は対ミサイル訓練を行った。この危機管理意識を日本も範とすべきだろう。

日本は事態がここまで緊迫してから、にわかに対策をし始めた。

政府は21日、弾道ミサイル被弾時における避難方法を国民に知らせるため、内閣官房の「国民保護ポータルサイト」に弾道ミサイルに関する緊急情報を住民へ瞬時に伝達するシステム「Jアラート」についての詳細や、着弾した際に取るべき行動についての対応が説明されている。また、政府は各都道府県に対し、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練を早期に実施するように求めた。

しかしながら、実際に弾道ミサイルを想定した住民避難訓練を行ったのは秋田県男鹿市のみ。着弾可能性が極めて高い東京での避難訓練はいまだ行われておらず、着弾時に万全を期すための「核シェルター」もない。

さらに、日本はミサイルを撃つこと自体を踏みとどまらせる「敵基地攻撃手段」も保持していない。ミサイル迎撃手段であるPAC3もその射程範囲内はせいぜい20km程度、と日本全土を守るにはあまりに心もとない。

北朝鮮による有事が現実味を帯びてきた今日、日本が国防について真剣に考える時が来たのではないだろうか。(智)

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