2017年2月号記事
年金廃止で
生涯賃金4千万円UP!
このままでは年金月額8万円!?
「これからも年金はもらえる」と盛んに喧伝する厚生労働省。
本当に老後の生活は安心なのか。
「年金制度がなくなるとどうなるか」を白紙の目で大胆に考えた。
(編集部 小川佳世子、河本晴恵、山本慧)
公的年金制度の仕組み
- 20歳以上の国民全員が公的年金に加入し、保険料を納める制度。
- 現役世代が納めた保険料が、高齢者の年金となる「賦課方式」。
「生活に十分な年金はもらえるのか」「いくらもらえるのか」
日本の公的年金制度への不信感や不安が高まっている。
第一の問題は、保険料を払う人と年金を受け取る人のバランスの崩れにある。 現在の年金制度は、現役世代が払う保険料をその時の高齢者に支給する「賦課方式」で運営されているが、これは保険料を払う現役世代が高齢者より圧倒的に多く、経済成長が続かないと成り立たない。
日本で国民皆年金が始まる前は、高齢者の83%は家族に養われて生活していた(注1)。そんな中、各党が年金制度の確立を訴え、59年に国民年金法が成立。厚生省(当時)の国民年金準備委員会の事務局長だった小山進次郎氏は、「家族制度が崩壊に向かっている」として、子供が親の扶養の責任を負うことを「方向としても誤り」「事実上もそれに期待することができなくなる」としている(注2)。
ただ、 政府が国民全員の老後の面倒をみることにリスクはないのか。 60年に65歳だった男性の平均寿命は2015年に80歳を超えた。年金をもらう高齢者の人口が増えるなか、少子化が進み、費用を負担する現役世代は減り続けている。今後も年金だけで老後の生活が保障される可能性は限りなく低い。
(注1)1956年の社会保障基礎調査。
(注2)『国民年金法の解説』小山進次郎著(1959年)
年金保険料はどこへ消えた
第二の問題は集めた年金保険料の管理だ。 年金資金は過去、国民の承認を得ないまま、保養施設グリーンピアの建設などに浪費された。2007年の「消えた年金記録」問題でも、管理のずさんさが露呈した。
さらに、現在130兆円ほどある年金積立金で株や国債が買われている。国民から強制徴収した資金を政府が「運用してあげている」形だが、2015年には5兆円の損失が出た。このままのやり方を続けていいのか。
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"脱・年金"すればどうなるか?
年金を廃止した国に学ぶ