「統合型リゾート(IR)整備推進法案」、いわゆる「カジノ法案」が、14日に参院本会議で可決され、15日に衆院本会議でも可決、成立した。

賛成派と反対派の言い分

この法案は、刑法の賭博開張罪にあたるカジノを合法とし、カジノや大型ホテルなどが一体となった統合型リゾート(IR)をつくるというもの。成立した法案は、IRの整備を進めることを決めたもので、政府は、規制や依存症対策などの項目も盛り込んだ具体的な「IR実施法案」を、1年以内に国会に提出することになる。

本法案については、議会でも賛否が分かれていた。

安倍晋三首相が「IRに対する投資があり、それが雇用につながっていくのは事実だ」とコメントしているとおり(7日の蓮舫氏との党首討論)、与党などの賛成派は、IRができることによって、雇用の促進や、外国人観光客の増加などにつながるとして、経済成長が見込めると主張した。

一方、野党などの反対派は、カジノ解禁によるギャンブル依存などの懸念を示した。また、採決までの短さに関して、議論がまだ十分ではないという意見も噴出。自民党と連立与党を組む公明党も、自主投票となり、25人中、山口那津男代表をはじめとする7人が反対に投票をした。

今回の修正法案には、規制や依存症対策の項目なども盛り込まれていたが、野党などは反対の姿勢を崩さなかった。今回のカジノ法案に加えて、TPP承認案や年金制度改革関連法案などで採決を急ぐ与党の動きに、内閣不信任案が野党から提出されるまでに至った。不信任案は可決されなかったものの、与野党の溝は深い。

目的はお金を使わせること

大川隆法・幸福の科学総裁は、12月上旬の法話「政治の論点について」において、カジノ法案に隠された政府の思惑について、以下のように述べている。

政権としては、カジノ自体が目的というよりは、お金を使わせたいのだと思うのです」「『国民がお金を使いさえすれば景気はよくなるのだ。ところが、預金を持っているのに、みな、なかなか使わない。(中略)これは、けしからん』ということで、何とかして引きずり出そうとしているわけです

消費増税などの影響によって、現在、個人は消費をせず、企業は内部留保をため込むという傾向にあり、経済はさらに悪化している。国民の消費を促進するために、今回の法律を早急に通したのではないか、ということだ。

政府は他にも、企業に賃上げを要求したり、0円スマホを禁止したり、お金を預けすぎると“罰金"を取られるマイナス金利政策など、国民や企業に「とにかくお金を使え!」と言わんばかりの施策を次々と打ち出している。

しかし、国民や企業がお金を使わないのは、使わないなりの理由がある。それを解消することなしに使わせようとしても、思い通りにはならない。たとえカジノができて雇用や消費が増えたとしても、それによって破産をする人やホームレスになる人があふれてしまっては逆効果だ。

そこには、国民を豊かにしようという気持ちは感じられない。お金を使わせようとする姿勢も、カジノ法案も、株価などの経済指標を増やして自らの支持率を上げるためと見られても仕方がない。

今必要なのは、カジノのような、単にお金を使わせようとするだけのもの(しかも本来は刑法で罪になるようなもの)ではなく、交通インフラや宇宙・航空産業などといった、人々の生活が便利に豊かになったり、産業ができたりといった、未来の価値を生み出すようなものへ投資することである。

目先の利益にとらわれるのではなく、国民を豊かにするための政治が行われるべきだ。(志)

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