2月2日付け産経新聞に、中国の次期最高指導者・習近平氏が着々と軍掌握に動いているとの記事が掲載されている。

1月中旬から下旬にかけて、人民解放軍の幹部約20人の人事異動が行われ、習氏が属する元高級幹部子弟がつくる「太子党」勢力の躍進が目立ったという。なかでも、軍の兵站を一元管理する「総後勤部」の政治委員に、習氏と親しい「劉源(りゅう・げん)」氏が就任したことが注目されている。この機関は、軍関係の企業、病院、物資の管理等を統括する大きな権限を持っているが、この部門のトップに習氏と関係が深い人物が就任したことは、習氏が軍の大きな実権を握ったことを意味する。

中国の専門家によれば、中国には「国家主席(国家元首)」や「共産党総書記(共産党トップ)」、「中央軍事委員会主席(軍トップ)」などの役職があるが、結局、軍という武力装置を掌握した者が国の実権を握るという。習氏は2009年に軍のナンバー2である「中央軍事委員会副主席」に選出されると見られていたが、胡錦濤・国家主席は躊躇し、2010年になってようやく習氏を副主席に就けている。

江沢民・前国家主席がそうだったように、胡錦濤氏も2012年に習氏に国家主席や総書記の座を譲っても、中央軍事委員会主席の座は譲らず影響力を維持する可能性も残されている。今回の人事はそれを防ぐための習氏の布石であり、中国政界の権力闘争の一端であると見ていいだろう。(格)

※劉源氏の就任や習近平人事については、1月30日発売のリバティ最新3月号の連載「中南海インサイド・ウオッチ ~水面下で進む習近平人事~」でも詳しく伝えている。

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