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25兆~30兆円。これは、日本銀行が2015年末に試算した、2020年のオリンピック開催に伴う経済効果だ。主に訪日観光需要と関連建設投資の増加で、日本の経済にこれだけのプラスの効果があると考えられている。
7月31日投開票の都知事選の争点のひとつは、オリンピック開催に伴うさまざまな課題の解決だ。中でも最も注目を集めるのは、会場整備の予算の問題だ。
仮設会場の整備費や既存施設の改修費が、招致段階の723億円から3000億円近くに膨らむ見通しだ。当初、新設の恒久会場は東京都が建設し、仮設会場の整備と既存施設の改修は大会組織委員会が担うことになっていたが、組織委の支出が大きく膨らむ見通しとなったことから、組織委と都は役割分担を見直し、仮設会場も都が一部を整備する方向で協議が進んでいる。
日本にとっての大チャンスである2020年の東京オリンピックを成功に導くのは、どの候補者か。
自公公認・元総務相の増田寛也氏
- 都民の負担を最小限にする。簡素で、復興五輪の精神に立ち返る。
- ラグビーワールドカップ2019と一体となった機運醸成。
- 13万人以上のボランティアなど全国民参加型大会の開催。
- テロ、サイバー攻撃などへの万全の備え。
- 五輪を成功に導くとともに、その先も成長を続ける持続可能型社会を構築。
野党統一候補・ジャーナリストの鳥越俊太郎氏
- 都民の税金を使うのだから、コンパクトでスモールな大会にする。
- テロ・サイバー攻撃などの脅威に対し、万全の備えを確立。
- 「どんどんハコモノを建てればいいという話ではない。環境に優しい考え方を導入する」とし、仮設施設の利用を訴える。
元防衛相の小池百合子氏
- 東京五輪・パラリンピック関連予算・運営の適正化。
- 新たなテロへの脅威に備え、公共施設や重要施設でのセキュリティー対策を本格化する。
- 東京ブランドを確立し、観光・インバウンド客をさらに増大させる。
- 観光ボランティア「おもてなし東京」のユニホーム見直し。
幸福実現党の七海ひろこ氏
- 五輪を日本経済復活の起爆剤とする。2020年以降を見据え、日本の魅力をアピールし、首都の成長力強化に向けた政策を実施する。
- 開催までにホテルの大幅増設と、コンベンションセンターの増強を図る。
- 競技会場については、大会後の有効活用案をしっかりと検討しながら、整備を進める。
- テロの未然防止を含めた治安対策を講じる。防犯パトロールなど都の職員による警備も実施する。
- 成田空港や羽田空港の最終到着便でも、いつでも都心に来られるように電車網の24時間化を進める。
東京五輪のチャンスを最大限に生かす「発展マインド」
東京オリンピック・パラリンピックの事業予算や運営費に関しては、増田氏、鳥越氏、小池氏は可能な限り「縮小する」との方針を打ち出している。特に増田氏と鳥越氏は、「簡素」「コンパクトでスモール」という言葉で、予算を絞る考えを強調している。
もちろん、無駄なお金を使わないことは当然だ。しかし、冒頭に述べたように、東京オリンピックが生み出す経済波及効果を考えれば、この機会を逃す手はない。投資すべきところを見極めて、正しくお金を使うことも大切ではないか。
また、過去にオリンピックを開催した他の国では、大会開催後、会場を有効活用できないケースが多い。五輪開催後にも施設を有効活用することが重要だ。
鳥越氏は「仮設施設を拡大する」と述べているが、大会時にしか使えない仮設施設よりも、むしろ七海氏が訴えるように、大会後も有効活用することを見越した、しっかりとした建物をつくり、大会後には低い予算で改装するなどの発想が必要なのではないか。七海氏はまた、電車などの交通インフラ網の24時間化を進め、海外から深夜到着のフライトで来日する人のニーズにも合った政策を提案している。
日本の首都・東京のリーダーには、現状維持や「縮みマインド」ではなく、まったく新しい発想で東京にイノベーションを起こす「発展マインド」を持った候補を選びたいものだ。
【関連サイト】
七海ひろこ公式サイト
【関連書籍】
幸福の科学出版 『繁栄の女神が語る TOKYO 2020』 大川隆法著
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