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政府は2日、「ニッポン1億総活躍プラン」や「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」など、幾つかの計画を閣議決定した。参院選に向けた、安倍政権の目玉政策となる。
「1億総活躍プラン」は「一億人の人口を維持しながら日本の成長を促す」というもの。「名目GDP600兆円」、「希望出生率1.8」、「介護離職ゼロ」の実現を目指す。
「分配」すれば「成長」する?
そのキーワードが「成長と分配の好循環」だ。
例えば、「同一労働・同一賃金の実現」、「最低賃金の引き上げ」など、政府が労働賃金に口を出す政策が盛り込まれている。企業から労働者にお金を「分配」することで、消費が増え、経済が「成長」するという意図だ。
また、バラマキ中心の政策も目立つ。保育士を増やして待機児童を解消するため、保育士の賃金を来年度から月額6000円程度引き上げる。介護職員の賃金も、月額で1万円程度上げる。どれも、国民から集めた税金を、「分配」するものだ。
「分配」のしわ寄せも国民生活へ
しかし、「分配」はいつの時代も、思わぬ副作用を生んできた。
まず、「同一労働・同一賃金」や「最低賃金の引き上げ」を進めれば、人件費が上がる。すると、企業は雇用に慎重にならざるを得なくなる。こうして失業者が増えれば、それこそ景気が悪くなる。
また、バラマキをするために徴収される税金も、どこかで消費や投資を減らしている。2015年にマイナス成長が続いたのも、個人消費が弱かったから。消費税率の引き上げが影響しているのは明らかだ。
好循環を止めているは「分配」の不足ではない。個人消費や、企業の活動を阻む税金だ。
保育・介護の問題は「バラマキ不足」か?
そもそも、保育士の給与を上げて保育園を増やしても、「それならうちも預けようかしら」という親が増える。今までも、保育所の定員数が増えると同時に、申込数も増えてきた。
介護にしても同じだ。介護福祉士の中には、「私がこの人の世話を何でもするから、この方は要介護の状態から抜けられない」と感じている人が少なくないという。
「分配」すればするほど、「欲しがる人」が増えるのが、世の中の真実なのだ。
選挙では「分配」に軍配……
「分配」というのは、社会主義政策の代名詞だったはず。しかしながら現実は、「分配」するほど選挙では有利だ。上のような副作用があっても、やはり自分が貰えれば嬉しい。
そんな中でも、「おかしい」と思った国民が、その意見をしっかり表明し続けることが、「国家の正気」を保つことに繋がるのかもしれない。(加)
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