内閣府庁舎の外観(画像は Wikipedia より)。

熊本地震の現地対策本部長を務めていた松本文明内閣府副大臣が、熊本県庁と政府をつなぐテレビ会議を使い、おにぎりなどの差し入れを求めたことについて、「大変申し訳ない」と謝罪した。松本氏はすでに本部長の職を退いており、酒井庸行内閣府政務官が後任を務めている。

差し入れ要請が、事実上の更迭へと発展した内閣府の不始末。だが、そもそも、内閣府とは何なのか。

内閣府のポストは倍増

内閣府は2001年に、行政機関の再編・統合でできた省庁だ。もともとあった総理府や金融庁などの業務を効率的にするため、橋本龍太郎政権下で進められた。内閣府には、防災担当のほかに、金融担当や、国家戦略特別区域担当などが置かれ、防災担当である河野太郎氏が熊本地震の対策責任者に当たる。

しかし、内閣府にはさまざまな問題点がある。

【クリックで拡大】内閣府の主な事務(図は編集部作成)。

内閣府が発足した当初は、6つの組織しかなかったものの、現在は、12にまで増加している。2015年度の予算では、省庁内で5番目に多い約2兆8000億円を計上。河野氏のような「担当大臣」という名のポストも、8つ存在しており、大臣が乱立する状態にある。

内閣府の主な事務(図は編集部作成)。

その背景には、社会問題が起きる度に、政府が新たな組織をつくって、対策に当たってきた経緯がある。例えば、2003年にBSE(狂牛病)問題が発生したことを受け、食品安全の担当所管が新設された。それ以降、このポストは常設化している。

内閣府は「大きな政府」の象徴

新しいポストができれば、既存の省庁と仕事が重複し、ムダも発生している。

内閣府にある経済財政や規制改革は、経済産業省の仕事と被り、原子力関連の仕事は、環境省などと被っている。政府の権限を小さくさせる「小さな政府」を目指した省庁再編が、逆に、権限を肥大化させる「大きな政府」につながっているのだ。

政府は、今や1000兆円にもなる債務を問題視し、増税を検討する立場であるはず。本来、率先して行政組織のリストラを進めるべきだが、一向にそうした議論を加速させない。

こうした大きな政府の流れを変えるには、行政組織の見直しが必要だ。省庁の民営化を含め、国民的な議論が求められている。

(山本慧)

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