チュニジアの政変に触発され、周辺のアラブ諸国で反政府デモが拡大していることを各紙が伝えている。

アフリカ最貧国イエメンの首都サヌアの大学では22日、学生ら約2500人が、32年の長きにわたって現職にあるサレハ大統領の追放を求めるデモを行った。ただし、政権が強圧的に、にらみを利かせているため、デモは市街に出ることはなく大学の中だけで行われたという。

アルジェリアの首都アルジェでも22日、「大統領は出て行け」と叫ぶ約300人のデモ隊が警官隊と衝突し、40人以上が負傷した。21日には王制のヨルダンでも、首都アンマンでイスラム主義勢力ら約5000人が、物価上昇の責任などを問いつつ現首相の辞任を求めた。

24日付け読売新聞によれば、チュニジアでは高学歴の若者がネットなどを通じて政権批判を共有した結果、デモが拡大して政変につながったものの、チュニジアに比べて教育水準が低く貧困層が多い周辺国では政治的要求よりも生活苦への不満が強い。アルジェリアが石油や砂糖などの値下げを決め、ヨルダンが政府関連の求人を増やすなどの失業対策を発表した今、政権打倒を叫ぶデモの勢いが続くかは微妙との見方もある。

だが、古くは日露戦争で日本がロシアに勝利したのを見たアジア諸国が、「非白人でも白人に勝てる」との意識を持ったことから、欧米による植民地化が終わりを告げた。「不可能だ」と思っていたことでも、誰かが現実にやってみせれば、「できない理由」は言い訳に過ぎなかったことがわかる。チュニジアを見てそれが「できる」ことを知った周辺アラブ諸国の民衆運動の動きに、引き続き注目したい。(T)

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