ベンアリ前政権による非合法処分が解かれ、今後チュニジアで有力政党になると見られている「アル・ナハダ」(Al Nahda 「再生」の意)関係者の話を、23日付け朝日新聞と22-23日付けインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙が掲載しているので抜粋・要約して紹介する。

ナハダ幹部・サミール・ディロウ氏(朝日)

「我々は神権政治は目指さない。腐敗の廃絶や弱者への思いやりなど、イスラムの道徳観に沿った政治を目指すが、個人に宗教を押しつけるつもりはない。世俗主義と宗教的価値観を両立させることは可能だ」

ナハダの指導者で、14年間投獄されて拷問され、その後6年間は秘密警察に追われていたAli Larayedh氏(IHT)

「獄中で瞑想するなかで、西欧の価値観を包み込む見方ができるようになった。イスラム主義政治としてはきわだってリベラル性を帯びた考え方になるだろう。我々はムスリムだが、近代主義に反対しているわけではない。他国のイスラム過激主義者と違い、女性を排除したりはしない」

同氏は一方、米国のイスラム世界介入に反対の意を示している。

「アメリカは今も、アラブ諸国の独裁者たち数名を支持している。ベンアリもその一人だ。アラブ世界の人々は皆アメリカの政権を憎んでいる。アメリカに限らず、いかなる他国の軍隊がアラブ諸国に介入することにも反対だ。まるで、我々が独立国ではないかのようではないか」

独裁政権の退場がチュニジアの「民主化」につながるのは間違いなさそうだが、日本人が思い浮かべる民主化とはいささか色彩を異にする、イスラム主義、近代主義そして反米のアマルガム(合金)となりそうだ。宗教と政治のあり方を考える上でも、同国の今後が注目される。(T)

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