坪倉正治

(つぼくら・まさはる)

医師。東京大学医科学研究所特任研究員。南相馬市立総合病院などで非常勤医として勤め、放射線の知識に関して地域で講演を続けている。

3.11の震災から5年。福島では、今でも約10万人が避難生活を続き、復興が遅れています。2月30日発売のリバティ4月号では、福島第一原発から約20キロメートルの距離にある南相馬市を訪ね、南相馬市立総合病院に勤務する坪倉正治医師に話を聞きました。

誌幅の関係で掲載できなかった内容を、2回にわたって紹介します。第2回目の今回は、福島の本当の問題について。

――原発事故後、地域の絆が壊れ、それが健康問題にも影響を及ぼしている、と伺いました。具体的には、どういうことがありますか?

坪倉正治氏(以下、坪倉): たとえば、この病院では震災後、乳がんの患者さんが「進行期」で見つかることが多くなりました。以前であれば、もっと早い段階で見つかることが多かったのです。どうしてそうなるかというと、家族と一緒に住まなくなったからなんです。