航空自衛隊のPAC3発射機M902(Wikipediaより)
北朝鮮が発射した長距離弾道ミサイルが上空を通過した沖縄の2紙「琉球新報」「沖縄タイムス」が、日本政府のミサイル防衛の対応について、興味深い報道をしている。
今回、政府は、最悪の事態を想定して、南西諸島への自衛隊増強や迎撃ミサイルPAC3を石垣港の一角に配備するなどした。
PAC3配備は自衛隊の沖縄配備の地ならし?
まずは、2紙の考え方がよく分かる箇所を引用してみよう。
「ミサイル発射に乗じた自衛隊配備の地ならしは許されない。(中略)住民向けに『頼りになる自衛隊』の演出を狙ったPAC3の配備だった」(5日付琉球新報社説)
「配備は南西諸島への自衛隊増強の『地ならし』との見方もある。危機管理に万全を期すのは当然だが、一方で、冷静な受け止めも大事だ」(5日付沖縄タイムス社説)
両紙とも、ミサイル防衛は、沖縄を守るためでなく、「自衛隊配備の地ならし」と捉えたようだ。それは、今回の北朝鮮の計画では、ミサイルは日本上空の大気圏外を飛行するため、配備されたPAC3が役に立たないという理由からだ。
しかし、そもそもミサイル発射日も無視した北朝鮮が、計画を変更して、日本にミサイルを撃たないとは限らない。国家として常に最悪を想定し、PAC3を配備するのは、当然のことである。PAC3配備を「自衛隊配備の地ならし」とするのは、議論が明後日の方向へ向いていると言わざるを得ない。
ミサイル発射後の8日付の琉球新報の記事はもっと"飛ぶ"。
「軍事的な緊張を一層高める危険な領域に近づいている」と理解を示しながらも、「今回の発射を機に、北朝鮮の核を抑止する上でほとんど機能しない在沖米軍基地の必要性が、ことさら強調されることがあってはならない」と、米軍不要論にまでなっている。
すべて「外交」「対話」で解決するのか?
しかし、さすがの沖縄2紙も、北朝鮮への脅威は認識している。では、どのように沖縄を守ろうと主張しているのだろうか。
「『外交解決は困難』との見方が国際社会に広がり始めたことは危険だ。あくまで包囲網を狭める外交努力によって、北朝鮮の軟化を引き出し、核とミサイル開発を止める方策を探らねばならない」(8日付琉球新報社説)
「朝鮮半島非核化に向け関係国が本気になって取り組むべきだ」(8日付沖縄タイムス社説)
簡単にまとめれば、諸外国と協力して、北朝鮮と対話し、北朝鮮の軟化を引き出し、「核ミサイル開発」をやめるようにお願いすることが解決策のようだ。
「外交」は実行力の担保があって機能する
しかし、こうした考えに対して、大川隆法・幸福の科学総裁は、著書『正義の法』(幸福の科学出版)の中で、次のように述べている。
「 国際法や、国際機関による判断もあるとは思いますが、実行力の担保がなければ、言うことをきかない国が現にあるということも事実なのです。そういう意味で、やはり、勇気を持って決断しなければいけないところもあるのではないでしょうか 」
やはり、北朝鮮に、これ以上、悪を犯させないためにも、日本は自国を防衛する機能に対して否定的になるべきではない。実行力の担保があってこそ、「外交交渉」も意味をなしてくる。
誰しも平和を願っている。しかし、それが現実逃避となり、単なる事なかれ主義になってしまっては、根本的な問題解決にはつながらない。
(HS政経塾 水野善丈)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『正義の法』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1591
幸福の科学出版 「沖縄の論理は正しいのか?―翁長知事へのスピリチュアル・インタビュー―」大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1459
幸福の科学出版 『北朝鮮・金正恩はなぜ「水爆実験」をしたのか』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1612
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