14日、北アフリカのチュニジアのベンアリ大統領が国外に脱出し、23年間続いた独裁政権が崩壊した。

同大統領は87年、無血クーデターにより就任。政権は親欧米派で、中東諸国の中では比較的安定していると見られていたが、秘密警察網を張り巡らせて政敵を取り締まり、大統領の再選制限を撤廃するなどして独裁政治を続け、高失業率や汚職疑惑、物価高騰などに対する不満が国内でくすぶっていた。

そして先月、路上で野菜の販売を警察に止められた青年が焼身自殺を図った事件をきっかけに、全国で不満が爆発。大統領の即時辞任を求めるデモや暴動が一気に拡大した。事態の鎮静化のため、大統領は13日、2014年の次期大統領選への不出馬の意向を示し、14日には内閣を総辞職させ、6カ月以内に総選挙を実施すると表明。それでも混乱は治まらず、14日には首都チュニスで約8千人規模のデモ隊が治安部隊と衝突し、全土に非常事態が宣言された。そして15日未明、ついに大統領はサウジアラビアへ事実上の亡命をした。

その後、同国のガンヌーシ首相が憲法に則って暫定的に大統領に就任したが、ベンアリ政権を支えてきた同氏への国民の反発は大きいと見られ、引き続き混乱が予想される。周辺国に同様の混乱が波及する可能性があると共に、同国に進出している日系企業への影響も懸念されている。(由)

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