全ての国民に社会保障と税の共通番号を割り当てるマイナンバー制度について、2018年より、任意で預金口座にも適用する改正法が成立した。これにより、政府による個人資産への監視が強まりそうだ。

今回の改正法は個人のプライバシー保護に関わる重要なものだが、内閣府が3日に発表した世論調査によると、この制度の中身について、「知らなかった」との回答が、56.6%に上ったという。国民が知らない中、政府が法案の可決を前のめりに進めたと言わざるを得ない。

改正法を成立させた政府には、行政手続きの簡素化や徴税を強化する狙いがあると見られる。だがその反面、個人が他人に知られたくない情報が管理され、その情報が外部に漏えいする可能性がある。

マイナンバー制度が預金口座に導入されれば、国家が今後、個人の購買履歴や預貯金額まで把握することができる。そうすれば、個人が抱える病気や、あるアイドルのファンであること、成人向けビデオを買ったか、などプライベートな情報までが筒抜けになりかねない。そうした情報が外部に流出すれば、スキャンダルや事件に発展してしまう恐れもある。

税制に詳しい石村耕治・白鴎大学教授は、「週刊現代」2015年8月8日号で、「マイナンバーが載っている書類のやりとりと管理をするのは、役所だけではありません。普通の家庭や中小零細企業で、管理を徹底するなんてムリですよ。結局は民間レベルでダダ漏れ状態になるのが目に見えています」と指摘している。

実際、制度を導入したアメリカでは、2006年からたった2年で、1千万件以上の個人情報が漏えいしたとされる。これが原因となって「なりすまし被害」が続発し、社会問題化している。

今回の改正法成立を受け、「自由からの繁栄」を掲げる幸福実現党は、声明を発表。この中で、「マイナンバー制度の導入は、情報漏洩の危険性があるほか、国家による監視社会の構築など自由の抑圧につながる」との理由により、制度の見直しを求めている。

現在のマイナンバー改正法では、預金口座と結びつけることは任意となっているが、今後は義務化を目指すという。この監視と徴税強化の流れは、「重税社会」への道である。国民は、そうした政策には、「NO」を突きつけるべきだ。その一歩として、マイナンバーの預金口座への適用を拒否することも必要であろう。(山本慧)

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