日本年金機構は、標的型ウイルスメールによる不正アクセスを受け、約125万件の年金に関わる個人情報が流出したと発表した。流出件数は今後、さらに拡大する可能性もある。

日本年金機構によると、5月8日、職員が電子メールに添付されたファイルと開いたところ、ウイルスに感染し、不正アクセスが発生した。同様に、18日までに複数のパソコンがウイルス感染し、19日に警察庁に捜査を依頼。28日に警察庁から情報流出の連絡を受けたという。

今回の情報流出により、機構の職員のふりをして高齢者に電話を掛けて金を振り込ませる、振り込め詐欺が発生する可能性がある。機構の職員は電話での連絡はしないとしており、不審な電話などへの注意を呼び掛けている。

今回の事件は、来年1月に開始が予定されているマイナンバー制度の危険性を示唆するものだ。

マイナンバーとは、全国民に12ケタの番号を割り振り、複数の機関に存在している個人情報を、同一人物の情報として結びつけるもの。社会保障、税、災害対策の分野で活用される予定だ。所得や年金支給額、健康保険など多くの個人情報を結びつけるマイナンバーの管理体制に問題があれば、今回の流出事件とは桁外れの量の情報が流出する可能性がある。

実際に、マイナンバー制度を利用している米国やカナダ、韓国では不正アクセスによる情報流出が起こっている。

サイバー攻撃に対する日本の防御態勢は脆弱だ。サイバーセキュリティは日本の安全保障上の重要な課題の一つとなっている。激化する外国からのサイバー攻撃に備えるためにも、安全保障法制の整備だけでなく、政府はサイバーセキュリティを扱う情報部の強化にも当然、力を入れるべきだ。

だが、サイバー攻撃を完全に防ぐことは不可能だ。そのため、国が全ての個人情報を一元管理するマイナンバー制度は危険性が高い。

そもそもマイナンバー制度は、富裕層の財産状況を把握し、財産を海外に移転させる前に納税させることを目的に導入された。このように、マイナンバー制度は、政府が国民の生活や財政状況を監視・管理できるようにするものであり、大きな政府による統制型社会につながるものだ。

国が国民の情報を一元管理しようとする発想自体が間違っている。今回の流出事件を機に、マイナンバー制度の導入を中止し、政府は国民を管理しようとするのでなく、国民が自助努力によって繁栄していく社会をつくろうとすべきだ。そのような社会になれば、自然と税収も増えていくだろう。(泉)

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