G20と経済協力開発機構(OECD)に加盟する約40カ国が、グローバル企業の過度な節税を防ぐための対策を固めた。9月のG20財務相・中央銀行総裁会議やOECDの最終調整の後、11月のG20首脳会議で採択される見通しだ。

グローバル企業の一部は、カリブ海にあるケイマン諸島やバミューダ諸島(いずれもイギリス領)など、税率が低い租税回避地(タックスヘイブン)に、特許などの知的財産を移して節税対策をしていると言われている。

企業の節税への対抗策

今回、固まった対策は、大きく4つの柱からなることを、1日付日経新聞が報じている。

一つ目は、タックスヘイブン対策だ。タックスヘイブンに別会社をつくり、そこに特許を移転。本社はその別会社に特許使用料を支払うことで所得を減らし、所得税の支払いを抑えている企業が存在する。このような実体のない会社との取引にも課税するという。

二つ目は、二重課税対策だ。本国と進出国に二重課税されているとして、企業が国と裁判で争うことも多い。そのため、課税している2国が協議し、最長2年で紛争を解決することを定める。

三つ目は、ネット企業への対策だ。ネット企業が、進出した国で倉庫しか持たなかったとしても、その国で収益を上げた場合は、課税できるとした。今までは、米アマゾン・ドットコムなどは法人税を納めていない国もあったという。

四つ目は、透明性の確保だ。企業の節税対策を行う税理士などに、当局への報告義務を課すことになる。

低い税率で、国民が喜ぶ国へ

確かに、儲けている企業は税金を払う義務があり、行き過ぎた節税は脱税と紙一重だ。しかし各国は、企業が節税対策に労力を使うような高い税率を課していることについて考える必要がある。

例えば、現在、日本では、所得に対して累進課税を採用している。所得が195万円を超え330万円以下の場合、税率は10%だが、これが4000万円を超えると税率は45%にはね上がる。これでは、富裕層になろうと努力する人が減り、ほどほどの成功しか目指さない国民ばかりになってしまう。そうなれば国がじわじわと衰退に向かうだろう。

また日本は、税金そのものの税率は低くとも、年金や健康保険など様々な名目で「税金」を取られるため、全てを合わせた税率は世界でも高水準。ただ、それだけの税金が必要になっているということは、政府が非効率な経営を行っていることを意味するのではないか。

もし、政府がフラット・タックスを導入し、収入にかかわらず、所得税や法人税を一律で1~2割程度の低い税率にすれば、国民も労働意欲が湧き、企業も節税のためにあの手この手を使うこともなくなるだろう。そうすれば、結果的に国家の財政も安定する。

納税から逃げるのではなく、「税金を払うことは国民の義務」と思って、積極的に納税する国民を増やすためにも、政府は「小さな政府」「安い税金」を目指すべきだ。(泉)

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