インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙1月13日付に、中国の若い世代の声を紹介した興味深いコラムが載っているので、内容を少し紹介したい。

80年代生まれ以降の中国人世代は、アメリカの物質的豊かさをうらやんではいない。彼らがアメリカをうらやむのは、映画「アバター」のようなカルチャーを生み出せる点だ。

・彼らは一人っ子政策世代でわがままな傾向もあるが、自分探し (searching their souls)に熱心であり、イデオロギーに基づく暴力と貧困に苦しんだ過去の中国を乗り越えて自国のよりよい未来を指し示すという、自分たちの歴史的ミッションを自覚している。

・若い世代はアメリカン・ドリームならぬ「チャイニーズ・ドリーム」を求めている。 それは、たとえば両親世代のような働きづめの人生ではなく、正しい価値観や精神的な意味に裏付けられた、質の高い人生 (a life with quality)のことである。

・ある29歳の中国人男性によれば、彼の同世代の人生観を形づくっているものは、人生の本質、言い換えれば「真の幸福」 (true happiness)についての問題意識である。

ここに出てくる「自分探し」「意味ある人生」「よりよい未来」「真の幸福」などは、衣食が足りた現代社会の人々、特に若い世代が求めるものとして、きわめて普遍的なものと言える。しかも、それらはモノでもカネでもなく、物質的なものを超えた「目に見えない」価値である。日本にとって中国は、あらゆる意味で重要な存在である大国だが、両国の歴史観や文化の違いばかりに目をやらず、これからの時代を生きる若い世代の日本人と中国人が共に願っているもの、一言で言えば「真の幸福」という目標にフォーカスすれば、互いの理解や協力は決して難しいことではないと思わせてくれるコラムである。( T)

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