人の知力は、体力や運動神経と同じように、年齢とともに衰えると考える人は多いかもしれない。しかし「人の知性は年齢とともに進化する」「人は70代になっても学び続けることができる」ことを示す興味深い研究成果が発表された。ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。

マサチューセッツ工科大学の博士研究員ジョシュア・ハーツホーン氏は、米心理学専門誌「サイコロジカル・サイエンス」で「成人の知能に関する研究」を発表し、「人は年齢と共に鈍る面もあるが、一層賢くなっている面もある」ことを示した。

幼児期以降、歩く、飛ぶ、登る、走るという身体能力は向上するが、20代初めに身体能力が衰え始める。ハーツホーン氏は、「こうした身体能力の向上と退化は、『知能』にも当てはまるのか」に着目。過去の知能検査の結果や、さまざまな調査を重ねた結果、年齢を重ねるごとに身に付く知能は変化し、その知能の種類ごとに時間軸が異なることを発見した。

年とともに衰える知能と伸びる知能がある

例えば、処理スピード(どのくらい早く数字や名前、事実を理解し呼び起こせるか)は、18歳前後でピークを迎え、その後、崖から転げ落ちるように低下する。また、作業記憶(一度にどのくらい記憶し操作できるか)は、20代半ばで最盛期を向かえ、35歳前後で頭打ちとなり、その後は衰える。

しかし、人の感情などを想像する感情的知性(EI:Emotional Intelligence)は35歳前後で伸び始め、40歳前後でピークを迎え、60歳代までは低下しない。おまけに、語彙は加齢とともに増え続け、70歳まで増え続ける人もいるという。ハーツホーン氏は「我々が選択した方法でみると、人々は賢くなっているようだ」と結論付けた。

EIとは、心の知能指数(EQ:Emotional Intelligence Quotient)という指標で測定されるもので、ほぼ同じ意味と考えていい。EQという概念を考案したエール大学のピーター・サロヴェイとニューハンプシャー大学のジョン・メイヤーによると、EQの5大要素は、(1)自分の感情を正確に知る、(2)自分の感情をコントロールできる、(3)楽観的にものごとを考える/自己を動機づける、(4)相手の感情を知る、(5)社交能力、対人関係能力。これらは、人間関係が複雑に交わる現代社会で成功していくために欠かせない能力だ。

年代によって身につけるべき能力の移り変わりとは?

大川隆法・幸福の科学総裁の著書『ストロング・マインド』には、年代によって身につけるべき能力が変わることについて、次のように述べられている。

10代、20代の聡明才弁(そうめいさいべん)な性格から、30代、40代で磊落豪雄(らいらくごうゆう)な性格へと変身し、さらに、40代から50代、60代にかけて、深沈厚重(しんちんこうじゅう)な性格へと変身していくことが大事です

「聡明才弁」とは、頭の回転が速く、仕事ができ、弁舌さわやかな人。「磊落豪雄」とは、人を導き、間違いなども受け入れ、包み込むリーダーとしての器。そして「深沈厚重」とは、沈黙の時間のなかで深く考え、磨き込むことによって智慧を得て、どっしりとした人格を身につけることだ。

「多くの人の役に立つ人になろう」という志を立て、少しずつ自分を変化させ、育てていくことで、年を取っても自分を高め続ける「生涯現役人生」を送ることができる。ハーツホーン氏の研究はそれを裏付けているとも言えるだろう。生涯現役人生の最大の“敵"は、自分で自分を限定してしまう心なのかもしれない。(真)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『ストロング・マインド』 大川隆法著

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