日経平均株価が、一時2万円を突破した。2000年以来、15年ぶりとなる。

円安や原油安を追い風に、自動車や電機などの輸出関連企業の業績が回復していること、そして日本銀行や欧米などの金融緩和により、溢れた資金が日本株に向かったことが原因だと報じられている。

ただ、14年4月に消費税が8%に増税されて以来、国民の財布の紐は堅く、内需は冷え込んでいる。8%への増税の影響で、14年4月から9月までの半年間で、個人消費は1兆円弱押し下げられた。

その影響で、中小零細企業は青色吐息の状態だ。例えば、機械部品を卸す下請け業者が多い東京都大田区では、昼間からシャッターが閉まった町工場が増えているという。

円安の恩恵を受けるのは、輸出産業の多い大企業だけであり、内需で稼ぐ中小企業は厳しい状態が続いている。実際の日本経済は、高い株価を示すほど、業績がよいとは言い難い。

国内外で投資している人は、値段が上がった株を売り抜いて利益を得ようとする「投機家」が多いからだろう。さらに年金資金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などの公的機関が、多額の資金を日本株に投資していることが株高の要因とも言われている。

消費税増税が続く中、経済そのものが長期的に上向くと考えて、投資している人はあまりいないだろう。

また、実際に企業の事業が成功して、株価が上がっているのであれば、株主に利益を還元できる。しかし、事業が成功しておらず、だぶついたお金が日本株に流入しただけであれば、その高い株価はある意味つくりものだ。それを知っている企業は、株主に利益を還元することも、設備投資を積極的に行うこともできないだろう。

結局、今回の株高はある意味で、「つくりもの」、つまり官製株高だ。実体経済の伴わないものであり、じきに下がっていく可能性が高いと言える。政府は、2017年に予定している消費税の増税を中止し、税率を5%に戻すべきだ。そうなって初めて株高は好景気を反映し、経済成長をもたらすものになる。(泉)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『智慧の法』 大川隆法著

http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1377

幸福の科学出版 『忍耐の時代の経営戦略』 大川隆法著

http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1142

【関連記事】

2015年3月1日付本欄 日本がデフレスパイラルに再突入? 消費減税で経済成長を目指すべき

http://the-liberty.com/article.php?item_id=9285

2014年1月号記事 マスコミの情報を鵜呑みにしない - トレンドを読む5つのステップ Step1

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6973