「自由」を勝ち取るための戦い - 編集長コラム

「自由」を勝ち取るための戦い - 編集長コラム

2015年1月号記事

 

編集長コラム

 

2015年1月号記事

 

写真:新華社/アフロ

提供:Everett Collection/アフロ

安倍首相は、解散総選挙の大義について、アメリカ独立戦争を引き合いに出して説明した。

本当に今回の選挙に、アメリカ革命のような大義はあるのか。

 

アメリカ建国の父で初代大統領のジョージ・ワシントン。

「代表なくして課税なし、アメリカ独立戦争の大義です」

 安倍晋三首相は、衆院解散を表明した記者会見でこう述べ、消費税増税をめぐる決断について信を問うことに総選挙の大義があるとの考えを示した。

 イギリスが植民地のアメリカに勝手に印紙税や関税を課したことに対し、入植者たちが政治参加を求めて立ち上がった歴史を引き合いに出して、選挙の正当性を訴えたのだった。

 消費税増税は延期するが、2017年春には必ず実行するという。確かに重い決断なので、国民の審判を仰ぐのは、正しいことのように聞こえる。

 ただ、強い違和感を覚えるのは私だけだろうか。

 

 

米独立戦争を引き合いに大義を語った安倍首相

 政治哲学者アーレントは、アメリカ独立革命について政治の最高の理想だとして高く評価した。自分たちの運命を自分たちで決めるという「自由の創設」を行い、公的幸福をつくり出したためだ。

その観点からアベノミクスを見たらどうなるか。

 安倍政権は、成長戦略としての「第三の矢」がなかなか打ち出せなかった。規制緩和などによって人々のやる気や努力を引き出せれば、新しい商品・サービス・事業が次々と生み出され、繁栄をつくり出すことができる。しかし、安倍政権はこの2年、業界団体と自民党と役所が手を結んだ「岩盤規制」に跳ね返されてきた。

「岩盤」を破るポイントは、農業や医療、教育などの分野で新規参入を認められるかどうかだ。いずれの分野も新規参入のハードルが極めて高い。例えば農業では、株式会社が参入しようとしても、その会社の役員が「年に60日以上、農作業をしなければならない」という馬鹿げた規制がある。「トヨタの社長に週1回、工場で組み立て作業をしろ」と命じているようなものだ。

 こうした法律や規制をどんどん作り直すのが「自由の創設」だ。様々な参入規制をなくしていけば、農水省や厚労省、文科省は最終的に廃止しても構わない。

 安倍・自民党は、残念ながら、「自由の創設」を阻む側に立っている。

 

 

安倍首相は「独立を阻む」側では?

 アメリカの独立戦争とその後の建国は、17世紀イギリスの政治哲学者ジョン・ロックの思想の影響を強く受けていた。

 ロックの中心的な思想は、社会契約や主権在民、抵抗権などだ。「生命や自由、財産を守るために、自分たちの政府をつくる。しかし、財産などが守れないなら、抵抗権を行使して、政府をつくり直すことができる」と説いた。独立戦争はこの思想を実践したものだった。

 では、安倍首相の場合はどうだろう。

 安倍首相は会見で、増税を将来確実にやると宣言し、「わが国の世界に誇るべき社会保障制度を次世代に引き渡す」と述べた。

 その社会保障に何が起こっているのか。日本には、巨大な国営の年金保険や医療保険があるわけだが、国民から集めた1千兆円以上の資金運用ができず、数百兆円の大赤字を出している。仕方がないから、それを消費税増税で穴埋めしようとしている。大きな改革がないままならば、いずれ消費税が約70%になるという試算がある。

 こうした状態を経済学者ハイエクは「隷従への道」と言い、19世紀フランスの政治思想家トクヴィルは「温和で平穏な隷従」と呼んだ。

 政府が高齢の両親2人分の面倒を見るコストは年間約560万円だ。2012年時点の1世帯当たりの平均所得は約540万円なので、そもそもこの費用を国民が支払うことは不可能だ。それを無理やり続けていること自体、ロックの言う「抵抗権」を行使しなければならない対象になる。

 国営の年金・医療保険をやめて、民間企業でできるようにすれば、国民は自分たちで十分備えができるだろう。

 これもまた残念ながら、安倍・自民党は、「抵抗権」を行使される側にいる。

 

 

アメリカ入植後6年でハーバード大を建てた気概

 1630年、イギリスから北米の新大陸に、初めて千人規模の入植者が上陸した。数年あるいは十数年間は、荒野を開発し、家を建て、道路や街をつくり、生きていくのが精いっぱいの日々が続いた。だが、そのさなかに彼らは大学をつくった。今でも世界最高峰とされるハーバード大学が設立されたのは、入植の6年後だ。

 その目的は、聖職者と政治的リーダーを育てることだった。次々設立された大学で幅広い教養を身につけ、判断力・決断力のある人材が養成され、その人たちが140年後の独立戦争の指導者となった。大統領となったアダムズ、ジェファーソン、マディソンらはみな、アメリカの高等教育を受けて才能を開花させた人たちだ。

 大学建設を最優先したアメリカ移民には、「ピューリタンの国をつくるんだ」という強い宗教的使命感があった。また、社会や国家のために奉仕していこうというノーブレス・オブリージ(高貴なる義務)の精神があった。だからこそ「自由の創設」が可能だったし、勇気を持って「抵抗」もできた。

 このほど安倍政権として、「不認可」の判断を下した幸福の科学大学は、宗教的使命感とノーブレス・オブリージの精神を持ち、世界に奉仕する人材を育てようという大学だ。

 その意味では安倍首相は、選挙の大義に触れる中で、アメリカ独立戦争を持ち出してはいけなかった。

 

 

幸福の科学大学も国を支える人材を育てる

イギリスから北米への大規模入植のわずか6年後にハーバード大学は設立され、聖職者と政治指導者を育てた。幸福の科学大学もまた、宗教的使命感とノーブレス・オブリージの精神を持った人材を育てようとしている。ハーバード大学のキャンパス。

 

建設中の幸福の科学大学。

 幸福の科学大学創立者の大川隆法総裁は、同大学の母体である幸福の科学学園で重視する宗教的な考え方の一つとして、ノーブレス・オブリージを挙げている。

『周りからエリートとして認められるような人には、高貴なる義務が伴うのだ。やはり、人間は自分のためだけに生きてはいけない。世の多くの人たちから尊敬され、認められれば認められるほど、世の中のために尽くさなければならないのだ』ということを(同学園では)教えています

 同学園中学・高校(栃木県那須町と滋賀県大津市の2校)では、創立わずか4年余りでその"果実"が実っている。2014年3月に卒業した2期生(那須本校)は東大に2人、早大・慶大に29人の合格者を出した。部活動では、チアリーディング部が中高ともアメリカでの国際大会に出場し、中学が優勝、高校が準優勝した。

 こうした文武両道の実績は、宗教教育によって、「世の中のために尽くす」人材の養成を目指してきたからだ。

 本来であれば同学園中高の生徒らが来年4月から幸福の科学大学で学び、アメリカ建国を支えた聖職者や政治的リーダーのような人材になろうとしていた。

 それだけではない。幸福の科学大学は、人間幸福学部、経営成功学部、未来産業学部の3学部を予定している。人間の幸福感をどう高めるか。黒字企業をどれだけたくさん生み出せるか。新しい未来産業をどう創りだすか。そしてそれを支える政治をどう実現するか。それぞれの学部が名前の通りのミッションを果たそうとしていた。

 まさに、国家として持つべき成長戦略だ。下村博文文科相の「私怨」とは言え、この構想を阻止した安倍政権が「第三の矢」の成長戦略でつまずくのは、やむを得ないことなのだろう。

 

 

恩恵として国民に「自由」を与えるお上意識

 安倍・自民党だけでなく、役所やその他の政党も含め、日本の政治を司る人たちは、なぜ国民の「自由」にブレーキをかけたがるのだろうか

 おそらく企業や大学、宗教が自由に活動することについて、「自分たち"お上"が恩恵を与えてやっている」と考えているからだろう。

 明治時代に信教の自由の考え方が西洋から輸入されたが、明治政府は「天皇の政治を助ける範囲で自由を認めてやる」という姿勢だった。そのため仏教、キリスト教、教派神道などが弾圧され、事実上、信教の自由は存在しなかった。

 どうやらその伝統が、平成の今の時代も続いているようだ。私立大学であっても、どんな内容を教えるかは文部科学省が完全にコントロールしている。

 やはり日本では、信仰や学問、経済活動などの近代国家としての「自由」がまだ確立していないと言わざるを得ない

 

 

信教の自由はすべての人権の出発点

 人類が獲得してきた「自由」とは、どういうものだろうか

 イギリスのピューリタンたちは、一方でアメリカ新大陸に渡り、一方で国に残って革命を起こした。1642年の清教徒革命で、イギリス国教会の宗教弾圧に対し、クロムウェルやその秘書官となったミルトンらが、こう訴えて立ち上がった。

「神の子としての人間が語る言葉には、神の心の断片が宿っている。人々が討論を重ねる中で、神の心の全体を推しはかることができるのではないか」

 これが近代民主主義の本質であり、出発点となった。

 一人ひとりが神の心の一部を表現しているのだから、少数派の新しい宗教・宗派であっても排除・弾圧してはいけない。この考え方が信教の自由として確立した

 その後、信教の自由から当然の権利として、自分の信仰を告白する自由(伝道の自由)や、自分たちの教会を建てる自由が認められるようになった。

 それが世俗的に展開し、思想・信条の自由、言論・出版の自由、集会・結社の自由、さらには、アメリカ入植者たちのように大学をつくる自由(学問の自由)、政治活動の自由にまで広がった。

 結局、信教の自由から近代国家の「自由」の権利がすべて生まれたのだった

 

 

お上支配の自民か

「自由の大国」の幸福か

 これらの権利は、日本の戦後憲法の条文にも受け継がれたはずだが、まだ日本では確立できていない。だから、「自由の創設」が難しいし、財産を守ることも十分できない。新しい宗教系大学の設立をめぐっては、教義に介入し、信教の自由、学問の自由を踏みにじる。

 安倍首相は、自分をアメリカ独立戦争の英雄に重ね合わせたいのだろうが、悲しいかな、その正反対の立場だろう。

 今回の総選挙は、国民にとって、日本で「自由」を勝ち取るための戦いになる

 "お上"が支配する自民党やその他の政党を選ぶのか。それとも、自分たちの手で幸福未来を創る「自由の大国」を目指す幸福実現党を選ぶのか。その選択肢が国民の前に示されている。

(綾織次郎)

 

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