大統領選でオバマ氏が再選を果たしたアメリカだが、財政再建に苦しむ中、今後10年間で国防費を1兆500億ドル(約83兆円)削減することは、すでに決まっている。こうした中で、戦闘機や軍の装備品をつくるアメリカの防衛企業がリストラを加速させる実態を、9日付日経新聞が報じている。

記事によると、ボーイング社は防衛部門の管理職を30%削減する。すでに今年1月の時点で、国防予算の削減を見込んで、爆撃機などをつくるカンザス州の工場の閉鎖を決めており、カリフォルニア州のオフィスを閉鎖するなどし、部門を統合して効率化を図るという。

また、ロッキード社は国防予算が追加削減された場合、1万人を一時帰休する可能性があると従業員に伝えている。同社はこれまでの3年間で2万6千人をリストラしており、全米製造業者協会は、予算の強制削減が実施されればアメリカの防衛産業で最終的に100万人の雇用が失われると見ているという。

こうしたアメリカ弱体化のニュースは、中国の脅威にさらされている日本としては心細いものであり、ピンチにも見えるが、これをチャンスに変える方法もある。アメリカでリストラされた防衛企業の部門や技術者などを、日本に連れてきて防衛・航空・宇宙産業などの発展に一役買ってもらえばいい。

これらの産業において、日本はアメリカや中国の後塵を拝しているのが現状であり、差し迫る中国の脅威を考えたときに、膨大な時間をかけて自力で追いつくには時間が足りない。 たとえば、90年代のバブル崩壊後、日本の家電メーカーでリストラされた人々を雇用した韓国のサムスンは、その後、技術力が飛躍的に向上し、今では日本のメーカーを脅かす存在となっている。

他にも、アメリカの退役する空母を買い取って乗組員ごと雇用すれば、訓練期間も短く防衛力を強化することができるし、日本の自衛隊への教育効果も絶大だろう。これは、アメリカ人の雇用を確保し、かつ日本も国防強化の時間を短縮することができる。同盟国同士である日米両国にとってプラス面は大きい。

そしてまた、日本の防衛力の強化、日米同盟の強化は、中国の軍事力に怯えるアジア・太平洋諸国にとっても心強いものとなるはずだ。(居)

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