《本記事のポイント》

  • 中国の感染収束が疑われる理由
  • アリババ社長ら企業家10人が習近平氏に「9大要求」
  • 習近平氏と娘に送られた「共産党解体」要求

マスメディアの報道で、新型コロナウィルスの感染地帯からすっかり抜け出たように見えている中国。しかしその実態は、かなりの混乱状態だと見られる。

中国の感染状況を推測する3つの目安

習近平政権が、本当に新型コロナ感染をコントロールしたかどうかを推測する目安として、以下の3つが挙げられる。

一つ目は、全国人民代表大会と政治協商会議(両会)が開催されるかどうかだ。全人代が5月22日に開催されるという報道があった。とはいえ、習近平政権が体面と政権運営のために、無理やり強行しようとしている可能性もある。

二つ目は、小中学校、高校の授業が再開されるかどうかだ。一部の地方では、授業が再開されているが、再開延期となっている地域も少なくない。

三つ目は、中朝国境が再開されるかどうかだ。北朝鮮は経済的にかなり切迫しているはずだが、依然、国境は閉じられたままだ。

中国では、当局が発表しているような感染収束には至っていない可能性が高い。

アリババ社長ら企業家10人が習近平氏に「9大要求」

そんな中で、政情も不安定になっているようだ。

本欄でも報じたように、「太子党・紅二代」(毛沢東らと共産革命に参加した長老らの子弟)の大物企業家・任志強が3月、習近平主席を「裸になっても皇帝を気取るピエロ」と揶揄したため、当局に拘束されている。

また、同じ「太子党」の陳平(陽光衛視)という人物が同月、李克強首相・王岐山副主席・汪洋党中央政治局常務委員に、古参幹部を含めた政治局拡大会議を開催するよう求めた。習近平主席のこれ以上の独裁をストップするためである。

さらにこのほど、アリババの馬雲、レノボの柳伝志、SOHO中国(大手不動産)の潘石屹をはじめとする大企業のビジネスマンら10人以上が、李克強首相経由で習主席に対する「9大要求」を提出した。概要は以下の通りだ。

  • (1)「トウ小平路線」の堅持
  • (2)「文革」の否定
  • (3) 政治改革の開始
  • (4) 民間企業を差別しない
  • (5) 企業家の保護
  • (6) 全国人民に現金を支給する
  • (7) 新型コロナ蔓延の責任追及
  • (8) 任志強の釈放
  • (9)「李文亮事件」の再調査

さらに、中国共産党5大老、李瑞環、温家宝、李嵐清潔、胡啓立、田紀雲が習近平主席に対し「上申書」を提出した。これら一連の動きは注目に値する。

習近平氏と娘に送られた「共産党解体」要求

他方、注目すべきは、「普通の人」が書いた習主席の一人娘、習明沢に宛てられた手紙である。ここでは、その中のごく一部を紹介しよう。

◆             ◆             ◆

共産党体制の統治は、実際、中国の以前の封建王朝、中国民衆の統治と根本的に違いがない。清・明・元・宋・唐と本質的に変わらないだろう。以下は、私があなたにこの公開書簡を書いた目的である。

第一に、共産党を解体させ、国民に政治を返しなさい。

第二に、世界の人々にできるだけ早く謝罪、懺悔、補償しなさい。

第三に、教育改革を推進しなさい。教育だけが中国を救うことができる。

これらが達成されれば、お父様とあなたは、歴史に名前を残すだろう。

◆             ◆             ◆

なお、4月4日午前2時頃、北京市中南海で3発の銃声が聞こえたという噂が広がっている。その真偽は定かではない。

習近平政権は、この混乱下、どこまで持ちこたえられるのだろうか。

アジア太平洋交流学会会長

澁谷 司

(しぶや・つかさ)1953年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学などで非常勤講師を歴任。2004年夏~05年夏にかけて台湾の明道管理学院(現・明道大学)で教鞭をとる。11年4月~14年3月まで拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。20年3月まで、拓殖大学海外事情研究所教授。著書に『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界)、『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)など。

【関連書籍】

『コロナ・パンデミックはどうなるか』

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大川隆法著 幸福の科学出版

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