日米と中国のマネー戦争 ─2020年代の「富」「豊かさ」「繁栄」 - 編集長コラム

日米と中国のマネー戦争  ─2020年代の「富」「豊かさ」「繁栄」 - 編集長コラム

内モンゴル自治区オルドス市のハイバグシュ区は、開発したもののほとんど住人が住んでいない「ゴーストタウン」となっている。写真:Featurechina/アフロ。

 

2020年2月号記事

 

編集長コラム Monthly  Column

 

日米と中国のマネー戦争

──2020年代の「富」「豊かさ」「繁栄」

 

 

 世界の経済は2020年代、どう動いていくのか。日米と中国の「マネー戦争」の行方を見通してみたい。

 振り返れば2019年は、これまで約30年間、成長し続けてきた中国経済にブレーキがかかったターニング・ポイントとなる年だった。

 中国はアメリカ市場に製品を輸出し、稼いだドルを担保にして人民元を発行。それを国内へのインフラ投資と軍備拡大、「一帯一路」の対象各国への資金供与に使ってきた。ところが、トランプ米大統領が登場し、制裁関税をかけたり、通信機器大手ファーウェイなど中国の国策企業による米市場でのビジネスにストップをかけたりして輸出が激減。十分稼げないようになっている。

 一時期、中国のGDP(国内総生産)がアメリカのそれを2030年を前に追い越すと予測されていたが、中国の成長は鈍化し、マイナス成長に陥った可能性も高い。

 

 

中国バブル崩壊が世界に波及

 幸福の科学の大川隆法総裁は2019年11月に行った法話「貧しさと豊かさについて」で、こう指摘した。

中国もそうだし、ヨーロッパもそうだし、アメリカもそうだけども、みんな資産バブルです

90年代の日本に起きたことと同じことが世界中で起きる可能性が極めて高いです

 中国は2008年のリーマン・ショック後、景気対策として国内へのインフラ投資などを続けてきたが、多くの都市や鉄道の開発は採算が取れず、不良債権化していると見られる。

 中国の企業・家計の借金の合計はGDPの2倍にまで積み上がり、1990年ごろの日本のバブル崩壊時の水準を超えた。

 中国経済のバブル崩壊は2020年代の早い時期に確実に起こる。そうなれば、中国が最大の貿易相手国のドイツは深刻な打撃を受ける。リーマン・ショック後の不良債権処理が終わっておらず、金融機関や企業の倒産が相次ぐと見られている。

 日本でダメージが大きいのはソフトバンクだろう。ファーウェイと密接な関係を持ち、中国ネット通販大手アリババの筆頭株主だ。すでに中国経済の変調に合わせ、ソフトバンクの経営不振が表面化している。

 

 

アメリカはGAFAバブル

 アメリカのバブルは、GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)などIT企業の株価が上がりすぎていることと考えていいだろう。

 GAFAなど巨大IT企業は、既存の百貨店やスーパー、地方の小売店に取って代わる流通のイノベーションの面が過大評価されすぎているかもしれない。

 また、GAFAは利用者にできるだけ長い時間サービスを使わせ、商品の購入や特定の行動へと誘導する仕組みがある。

 そうしたGAFAの影響力が大きくなりすぎた反動が、いずれ株価にも反映されるだろう。アメリカはGAFAの次の時代への模索が始まっている。

 

写真:photocosmos1 / Shutterstock.com Evan El-Amin / Shutterstock.com asharkyu / Shutterstock.com NavinTar / Shutterstock.com

 

 

「富」の一種としてのお金

 中国のバブル崩壊にヨーロッパや一部日本企業も連動し、アメリカ経済もぐらつく。日本がどうなるのかが気になるが、その前に「お金って何だろう」という基本的なことを整理しておきたい。

 お金は「富」の一種ではある。金銭的な財産がそうだし、石油などの地下資源もそうだ。

 大川総裁は著書『発展思考』で、「富」についてこう定義している。

仕事をなしていくためには、十分な"栄養"、あるいは基礎力、すなわち体力や知力や財力など、さまざまなものが必要です。こうしたものを蓄える行為こそが、実は『富の本質』でもあるのです

 個人においては体力や知力、財力。企業では資金や工場などの資本。国家で見れば、道路や鉄道などのインフラ、エネルギー資源、研究機関が「富」にあたる。

「富」は価値中立的で、手段にすぎない。お金も使い方によって善にも悪にもなる。では、お金をどう使えば、善になるのか。そこに「豊かさ」の理念が重要になる。

 

 

「与える愛」と「豊かさ」「繁栄」

 宝くじで3億円が当たった人は「富」を得てはいるが、それが「豊か」かと言うと、少し違和感がある。

 やはり「人の役に立ちたい」と願い、体力や知力、お金などの「富」を使って、価値のある仕事をできることが「豊かさ」だと言っていいだろう。

 勤勉の精神や企業家精神、大きくは資本主義の精神も含むものだ。

 宗教的に言えば、「人の役に立ちたい」という「与える愛」の思いと行動が、新しい商品・サービスを生み出し、仕事を創り出し、やがて大企業や新しい産業を生み出す。そこに「繁栄」が生まれてくる。

「繁栄」は、商品・サービスがたくさん売り買いされ、人・モノ・お金・情報がより速く回転することを指す。人々は感謝の気持ちの表現としてお金を払う。その結果、個人や企業が稼いだ合計がGDPとなる。宗教的には、「与える愛の総量」が増え続けることが「繁栄」を意味する。

 さまざまな「富」と、「豊かさ」の理念によって、「繁栄」を実現するという関係性だ。

 

 

ドルの「信用」のもと

 さらに回り道になるが、いま世界で最も「富」があり、「豊か」で、「繁栄」しているアメリカのお金、ドルについて考えてみたい。

 ドル紙幣は単なる紙切れだが、米国内はもちろん、基軸通貨として供給量の半分以上が海外で流通している。米国内では法律でドルの受け取りを拒否することが禁じられているので、みなが受け取るが、海外ではそんな法律は通用しないのに自発的に受け取っている。

 世界の人々がドルを価値が揺るがないものとして「信用」している理由は何だろうか。ドルであれば何でも買えるという便利さはもちろんあるが、それだけではない。

 アメリカ経済は世界一の規模で、今も成長し続けている。トランプ氏が保護貿易的なスタンスをとっているものの、世界から最も多くモノを買い続けている。その海上交通路(シーレーン)の安全を世界最強の米軍が守っている。

 アメリカを中心とする繁栄と平和がそう簡単には揺るがないと考えられているために、世界中がドルを受け取っているというわけだ。アメリカは自国の利益のために行動しているものの、世界の繁栄と平和を支えようとしている「徳」みたいなものもあり、それがドルの「信用」の土台にあると言える。

 一方、中国は自国の人民元を、そのドルに取って代わる基軸通貨にしようとしているが、結局は、中国共産党の「信用」の問題となる。

 

 

ドルの「信用」の上に人民元

 中国共産党は、先の大戦後、国民党を軍事的に駆逐し、1949年に建国したが、「通貨戦争」でも国民党に勝利した。

 国民党が通貨乱発でインフレを招いて支持を失うなかで、共産党が人民元によって通貨価値を安定させ、政権獲得につなげた。

 その後、建国の父の毛沢東時代は海外との貿易が制限されていたが、その次のトウ小平の「改革開放」後、アメリカとの貿易が本格的にスタート。1990年代、人民元の価値をドルと連動させるようになった。

 つまり、中国が貿易で稼いだドルの「信用」の上に人民元を発行した。これは、アメリカの繁栄の上に中国の繁栄が成り立っていると言える。

 

 

共産党幹部が見切る人民元

 ただ、中国はドルだけではなく、あらゆる面でアメリカなど先進国の繁栄を"踏み台"とした。

 日米欧の企業から先端技術を強制的に移転させる。不法に盗む。日本は新幹線の技術をそっくり奪われ、「中国の技術」として輸出されている。

 他国から奪い取ったIT技術やAIを駆使してデジタル監視社会をつくり出し、ウイグルや香港などでの弾圧を強化。そのシステムも世界に輸出している。

 本来、中国は世界で二番目に繁栄している国として、「与える愛の総量」が増え続けていなければならない。しかし、無神論・唯物論の国が、ブラックホールのように、国民や他国の幸福を奪い尽くそうとしているように見える。

 2019年11月、習近平・国家主席がウイグルでのイスラム教徒弾圧を「情け容赦するな」と指示した演説の内部文書がリークされた。このことに象徴されるように、中国共産党の幹部の何割かは自国のトップを「信用」していない。

 このため、党幹部や富裕層らが資産を人民元からドルに換えて海外に持ち出し、その資金逃避額がこの数年、1年間で約3千億ドル(約33兆円)にのぼるようになっている。

 いつ人民元が大暴落し、中国経済が何分の一かに縮小してもおかしくない。中国のバブル崩壊はその一過程にすぎない。

 

 

写真:SeanPavone / Shutterstock.com Fasttailwind / Shutterstock.com helloabc / Shutterstock.com Kobby Dagan / Shutterstock.com

 

 

日本は「豊か」でない?

 では、2020年代の日本経済はどうなるだろうか。

 日本は1990年代の半ばからGDPがほとんど伸びていない。つまり、国民の所得が増えていない。この間、アメリカの3倍増、中国の40倍増に比べると、日本には何か欠陥があると言うしかない。

 日本には、戦後蓄積した「富」があるが、それを生かせていない。「人の役に立ちたい」と願い、新しい仕事や企業、産業を生み出すことができていない。

 先に触れた、勤勉の精神や企業家精神、資本主義の精神を含む「豊かさ」の部分が十分働いていないことを意味する。

 政府は「働かない改革」を推し進め、勤勉さを否定している。

 税金と社会保険料からどれくらいの割合で年金・医療・介護に支出しているかを計算すると、日本は、「世界一の福祉国家」と言われるスウェーデンを超える(*)。いつの間にか、「世界一税金を取ってバラまく国」になった。残念ながら、国民もそれを支持している。

 自民党政権でも他党の政権でも、業界保護を強く志向するため、規制緩和、自由化が進まない。そのため、政治が新しいビジネスや産業の芽を摘んでいる。

(*)2017年は日本が77%。スウェーデンが65%。日本は多額の国債を発行し、社会保障に使っているため、スウェーデン以上の社会保障の支出となっている。

 

 

「信仰の下の繁栄」の時代に

 大川総裁は著書『富の創造法』のあとがきでこう述べている。

信仰のもとに、正しさを知り、勤勉に働き、貯蓄に励み、よき投資をし、雇用を生み出し、国庫に税金を納める。これが正攻法である。邪道に惑わされることなく、未来の勝ち筋を見出すべきである

 勤勉の精神や企業家精神、資本主義の精神を取り戻し、仕事や企業、新しい産業を創り出す「正攻法」しかないということだ。

 先進国には、次の時代の新しい産業を生み出す「義務」がある。それで初めて新興国の製品や途上国の農産物など輸入し、共存共栄していくことができるからだ。

 それだけでなく、アメリカが世界の安定を維持している役割の一部を担うことも、大国・日本の「義務」だと言える。それは武士道精神、日本としての自己犠牲の精神の復活だ。

 HSU経営成功学部ディーンの鈴木真実哉氏は、「日本が国防強化できることと、日本に新しい基幹産業が生まれ、その産業自体を世界に輸出することによって、『円の覇権』が生み出されるでしょう」と指摘する。

 日本がアジアの大国として、世界の繁栄と平和を支える責任を果たしていくことに応じて、円がドルを補完する基軸通貨として世界中で使われるようになる。

 2020年代、唯物論・無神論の下の繁栄ではなく、「信仰の下の繁栄」の時代を拓きたい。

(綾織次郎)

 

 

 

日本の黄金時代を拓くには

2019年まで

  • 25年以上、GDPがほとんど増えない

  • 勤勉さを否定

  • 実質世界一の福祉国家

  • 業界保護で新ビジネスを阻害

  • 戦後蓄積した「富」が生かされていない

 

2020年代

  • 繁栄 ○ GDPで中国を再逆転

  • 豊かさ○ 勤勉の精神、企業家精神、資本主義の復活

  • 富  ○ 資金を新産業創出のために使う

 

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