《本記事のポイント》

  • イランとアメリカが一触即発状態の中、ロウハニ大統領が来日する
  • 日本は「仲介役」として、両国の仲立ちをすべき
  • 場合によっては、交渉の場を提供することも視野に入れた外交を

イランのロウハニ大統領が20、21日の日程で来日する。イラン大統領の来日は、2000年のハタミ大統領以来、19年ぶりとなる。

安倍晋三首相は20日にロウハニ氏と首脳会談を行い、中東地域の緊張緩和と安定化に向けて協議する予定だ。

政府は中東のシーレーン(海上交通路)の安全を確保するための自衛隊派遣をほぼ決定している。23日の閣議決定を目指して20日にはロウハニ氏に直接説明し、理解を得る考えだ。

開戦すればイラク戦争の悪夢ふたたび?

イランとアメリカは緊迫した関係が続く。米ウォール・ストリート・ジャーナルなど複数メディアは今月上旬、トランプ米政権がイランに対抗するため、中東地域に米軍数千人から1万人規模の増派を検討していると報道。米国防総省は「現時点で検討していない」との声明を発表しているが、今後の増派には含みを持たせている。

アメリカがイランの核開発などを理由に続けている経済制裁の影響で、イラン国内では物資の不足が深刻化。11月にはガソリン価格の値上がりに対して大規模なデモが発生し、数百人から1万人以上が弾圧されたと報道されている。

しかしイランが核開発を続けるのは、敵対するイスラエルが核武装をしているからであり、そのイスラエルを支援しているのもアメリカだ。

9月に発生したサウジアラビアの石油施設へのドローン攻撃も、アメリカはイランによるものと断定しているが、明確な証拠はない。一触即発状態でありながら、アメリカがイランを攻撃する、確固たる理由はないのが現状だ。

米同時多発テロを受け、ジョージ・W・ブッシュ米大統領は2003年、「イラクに大量破壊兵器がある」と断定してイラクに侵攻。イラク戦争が勃発した。その結果、イラクのフセイン政権が崩壊したが、大量破壊兵器は見つからなかった。

フセイン政権が倒れたことで、イラクが民主化できた面もあるが、新政府でイスラム教のスンニ派とシーア派を融合できず、イスラム国(IS)を誕生させてしまった。アメリカがイランへの攻撃に踏み切れば、イラク戦争の二の舞になる可能性も否定できない。

日本には仲介役の使命がある

イランは親日国の一つだが、日本がアメリカの経済制裁に追随していることなどもあり、今回の安倍首相との首脳会談に対しても、大きな期待はしていないだろう。

安倍首相もロウハニ氏との首脳会談に向けて、「アメリカと同盟関係があり、イランと良好な関係を維持してきた、日本ならではの舵取りが求められている」と、日本の置かれた立場を理解しながらも、「粘り強く対話を行うことで、外交努力を尽くしたい」と述べるにとどまっており、中東への自衛隊派遣への理解以外の論点は見えていない。

そんな中で、大川隆法・幸福の科学総裁は14日、イギリスのジョンソン首相、イランのロウハニ大統領、最高指導者のハメネイ師、トランプ大統領の潜在意識にアクセスする守護霊霊言を行い、彼らの本心を探った。

終了後、一連の霊言を受けて大川総裁は、イランの最高指導者のハメネイ師が訪米し、トランプ氏と会談するよう提言。その上で、「日本が仲立ちするとしたら、そんなときに、一緒に行ってやったらいいかもしれない」と指摘している。

中立的な立場にいる日本が間に入ることで、交渉が円滑化し、戦争の勃発を食い止められるかもしれないということだ。さらに一歩進んで、日本にハネメイ師とトランプ氏を招き、日本を話し合いの場として交渉することも提言すべきだろう。

日本には、両国を仲介する使命がある。日本とイランは1930年に国交が結ばれて以来、良好な関係を築いてきた。親日感情を持ち、日本から学ぶ姿勢のあるイランを導くことが求められている。

イランをはじめとしたイスラム教各国が、信仰を基とした頑なさを和らげ、信仰心を薄れさせることなく今よりも近代化できれば、欧米との衝突も薄まるはずだ。日本は、明治維新を契機に近代化を遂げ、世界の中心国の仲間入りを果たした経験から、イランが適切に近代化できるよう、支援していくことも日本の役割と言える。

イランの石油が届かないと日本も大打撃

イランとアメリカが開戦したとしても、遠い国の戦争のように感じる日本人も多いかもしれない。しかし、日本はペルシャ湾の周辺地域に原油の多くを依存しており、原油輸入の9割、液化天然ガス(LNG)の2割を中東に頼っている。開戦によりホルムズ海峡からの輸送が滞れば、日本は大打撃を受ける。

日本は、イランの安価な石油の恩恵を受け続けてきた。ホルムズ海峡を通過するタンカーなど日本の船舶は1日あたり約15隻と世界最多。もしもイランなど中東の石油が届かなくなれば、アメリカなどから高価な石炭やシェールオイルを買わざるを得ない日が来るだろう。

決して他人事ではない、イランとアメリカ情勢。日本は両国を仲介し、戦争を止め、平和に向けて共に前進していく使命を果たさなければならない。

【関連書籍】

『日本の使命』

『日本の使命』

大川隆法著 幸福の科学出版

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