老後が不安で仕方がない人へ──精神科医がおすすめする心を浮かせる名作映画(16)

老後が不安で仕方がない人へ──精神科医がおすすめする心を浮かせる名作映画(16)

 

人間関係に疲れた時、気分転換になるのが映画です。

 

映画を選ぶ際に、動員数、人気ランキング、コメンテーターが評価する「芸術性」など、様々な基準があります。

 

アメリカでは、精神医学の立場から見て「沈んだ心を浮かせる薬」になる映画を選ぶカルチャーがあります。一方、いくら「名作だ」と評価されていても、精神医学的に「心を沈ませる毒」になる映画も存在します。

 

本連載では、国内外で数多くの治療実績・研究実績を誇る精神科医・千田要一氏に、悩みに応じて、心を浮かせる力を持つ名作映画を処方していただきます。

 

世の中に、人の心を豊かにする映画が増えることを祈って、お贈りします。

 

今回は、老後が不安で仕方がない人に向けたものです。

 

◆                   ◆                   ◆

 

(1)「幸せなひとりぼっち」(★★★★☆)

まず紹介するのが、「幸せなひとりぼっち」(2015年、スウェーデン映画、116分)。半年前にがんで妻に先立たれた頑固老人・オーヴェが、地域コミュニティーとの「心の交流」を通して、生きる希望を見出すヒューマン・ハートフル映画です。

 

人間は「社会的動物」であり、独りで生きてはいけません。人間同士の"つながり"を研究する「社会心理学」では、「孤独ストレス」が私たちの心身にいかに悪影響を及ぼすかが明らかにされています。

 

たとえば、配偶者と死別した後の死亡リスクを調査すると、妻を失って1年以内の男性の死亡リスクは30~100%も上昇します(ニコラス・クリスタキス著『つながり』参照)。

 

妻に先立たれたオーヴェ(ロルフ・ラスゴード)も、この「孤独ストレス」に苦しみます。これから一人で生きていくことに希望が持てず、首吊りや、電車への飛び込み、車の排ガス吸入など、何度か自殺を試みるものの、ことごとく失敗。簡単には死ねません。

 

そんなオーヴェの孤独な暮らしが、隣人によって一変します。隣に引っ越してきたイラク人移民のパルヴァネー家は、車の駐車やハシゴの貸し出し、病院への送迎、娘たちの子守りなど、次々にオーヴェに助けを求めます。

 

図々しくお願いをしてくる隣人に対し、最初は罵声を浴びせていたオーヴェ。しかし、やがて心を開き、最愛の妻との思い出を話し始めます。

 

オーヴェは、自分の悲しみにしか関心がない"悲劇のヒーロー"状態でした。しかし、人助けをしていくうちに、徐々に心が軽くなり、「生きる希望」が見えてきたのです。

 

ポジティブ心理学の研究では、「自分のことしか考えないエゴイストよりも、人のことを考える『利他』の心を持った人の方が、ハッピーになる」ことが分かっています。何歳になっても、人の幸せを考える精神状態でいたいものです。

 

 

(2)「おみおくりの作法」(★★★★★)

次の映画は、「おみおくりの作法」(2013年、イギリス映画、91分)という、孤独死した人の葬儀を執り行う公務員を描いた人間ドラマ映画です。

 

44歳のジョン・メイ(エディ・マーサン)は、ロンドン南部・ケニントン地区の公務員。孤独死した人の葬儀を執り行う仕事をしています。完璧主義者の彼は、遺族を見つける努力を怠らず、亡くなった人のために葬礼の音楽を選び、弔辞まで準備します。誠実に仕事に打ち込み、規則正しい生活を送りながらも、いつも孤独でした。

 

ある日の朝、ビリー・ストークというアルコール中毒で亡くなった年配の遺体が、ジョンの真向かいのアパートで発見されます。誰も知らない間に亡くなった人が、住まいの近くにいたという事実に、ジョンはショックを受けます。さらに追い討ちをかけるように、その日の午後、仕事に時間をかけすぎるとの理由で解雇を言い渡されます。

 

最後の案件となったビリーのために、ジョンはこれまで以上に情熱を傾け、イギリス中を回り、ビリーの関係者に連絡していきます。そして、旅の過程で出会った人々と触れ合ううちに、ジョン自身も決まりきった日常から解放されていくのでした。

 

しかし不幸にも、ビリーの葬式前に、ジョンは交通事故に遭って亡くなってしまいます……。ところが、ジョンの魂が天に召される時、これまでジョンに弔ってもらった孤独死した人々の魂が、彼を弔いに集ってきたのでした。ここで感動のラストシーンを迎えます!

 

本作では、たとえこの世で孤独であったとしても、まっとうな人生を送れば、来世で必ず報われるのだと確信させてくれます。老後の不安を和らげるには、人間の命は死んでも永遠に続くという「霊的人生観」が必要です。

 

 

(3)「ロッキー・ザ・ファイナル」(★★★★☆)

「ロッキー・ザ・ファイナル」(2006年、アメリカ映画、103分)は、前作「ロッキー5/最後のドラマ」から16年の歳月を経て制作された、ロッキーシリーズの完結編です。

 

ボクシング界の元スーパー・スター、ロッキー・バルボア(シルベスター・スタローン)は、妻エイドリアンに先立たれ、地元フィラデルフィアでイタリアンレストランを経営しながら寂しい余生を送っています。

 

そんなある日、ロッキーは昔、少し世話をしたシングルマザーのマリー(ジェラルディン・ヒューズ)に出会います。彼女との交流をきっかけに、一度消えていたハングリー精神に灯がともったロッキーは、再びボクシングを始めることを決意。

 

そして、プロボクサーのライセンスを再申請し、復帰を果たしたロッキーは、世界ヘビー級チャンピオンのディクソン(アントニオ・ターヴァー)とリングで戦うことになるのでした──。

 

本作を観ると、本当に「勇気」がわいてきます。平均寿命が90歳に近づき、超高齢化社会へと突き進む日本。人生には、何歳になってもチャレンジ精神が大切なのだと実感できます。生きがいのあるセカンドライフを送ることができれば、老後の不安は吹き飛びます!

 

他には、以下のような映画がオススメです。

 

神様のカルテ(★★★☆☆)

緑に囲まれた長野県松本市の野戦病院に勤務する栗原医師(櫻井翔)は、医師不足で休む暇もなく、たくさんの患者を診ていました。ある日、大学病院から見放された末期ガン患者・安曇雪乃(加賀まりこ)が現れます。彼女は、長年連れ添った夫に先立たれたばかりで、身よりもなく孤独でした。現代医学ではどうしようもできない彼女の病状……。果たして栗原は、彼女の精神状態をケアできるのでしょうか?

 

 

最強のふたり(★★★☆☆)

背髄(せきずい)損傷で四肢麻痺(ししまひ)となり、車いす生活を送る孤独な大富豪フィリップと、彼の介護をするスラム街生まれの黒人青年ドリスが、深い友情を結んだ実話映画。文学的な会話と下ネタ、クラシックとソウルミュージック、高級スーツとスウェット……。経歴や趣味趣向が正反対の二人ですが、他人の同情にウンザリしていたフィリップは、普通の人として接してくれるドリスを気に入ります。

 

 

幸福感の強い人弱い人

幸福感の強い人弱い人

千田要一著

幸福の科学出版

精神科医

千田 要一

(ちだ・よういち)1972年、岩手県出身。医学博士。精神科医、心療内科医。医療法人千手会・ハッピースマイルクリニック理事長。九州大学大学院修了後、ロンドン大学研究員を経て現職。欧米の研究機関と共同研究を進め、臨床現場で多くの治癒実績を挙げる。アメリカ心身医学会学術賞、日本心身医学会池見賞など学会受賞多数。国内外での学術論文と著書は100編を超える。著書に『幸福感の強い人、弱い人』(幸福の科学出版)、『ポジティブ三世療法』(パレード)など多数。

 

 

 

【関連サイト】

ハッピースマイルクリニック公式サイト

http://hs-cl.com/

 

千田要一メールマガジン(毎週火曜日、メンタルに役立つ映画情報を配信!)

http://hs-cl.com/pc/melmaga/hsc/?width=550&height=500&inlineId=myOnPageContent&keepThis=true&TB_iframe=true

 

【関連書籍】

幸福の科学出版 『幸福感の強い人弱い人 最新ポジティブ心理学の信念の科学』 千田要一著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=780

 

HSU出版会 『人間幸福学のすすめ』 第4章 人間幸福学から導かれる心理学 千田要一共著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=2152

 

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