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《本記事のポイント》

  • 政府は10月1日に、予定通りに消費税を引き上げる
  • 安倍首相は、最も消費を減らした首相として歴史に名を刻んだ
  • 国民の2人に1人が「消費増税弱者」となり、負担を吸収できない

政府は21日、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」で、消費増税を明記することを決めた。これにより消費税が、予定通り10月1日に引き上げられる公算が高くなった。

安倍政権は夏の参院選で、経済や外交の成果を引っ提げて戦うつもりだ。だが、特筆すべき成果は、アベノミクスや日米同盟の強化ではなく、「消費税を2度あげる」ことになるだろう。2度目の増税によって、日本経済はかなり冷え込み、不況に陥る可能性が極めて高い。それは、過去のデータを見ても明らかだ。

2度の「消費不況」に突き落とした安倍首相

総務省が発表する2人以上世帯の家計調査(上グラフ)によると、2014年4月に実施した8%への増税後、実質消費支出が13カ月連続でマイナスとなった。その後、2016年2月の「うるう年効果」を除くと、20カ月連続のマイナスも記録。それまでの最長は、リーマン・ショックの影響があった08年3月~09年4月の14カ月連続だった。

つまり、増税の後遺症は、リーマン・ショックを超え、統計で確認できるものとしては、過去最悪のレベルだった。安倍首相は、日本を2度の「消費不況」に突き落とした"偉大な"総理として、歴史に名を刻んだことになる。

2014年の消費増税は、97年よりも悪かった

さらに8%への増税は、消費税を5%に引き上げた1997年時よりも、日本経済へのダメージが大きかった。増税後の実質消費の推移(上グラフ)をみると、5%への引き上げ時はその後回復したが、8%への増税の場合は低迷し続けたことが分かる。

背景には、「増税の負担を吸収できない人が増えたこと」が考えられる。

増税に反対する岩田規久男・前日本銀行副総裁は、「日本は年金生活者や非正規労働者といった消費税増税に弱い人が多い」と指摘。すでに年金受給者は4000万人、非正規労働者は2000万人に達している。国民の2人に1人が「消費増税弱者」であるという。

消費増税はこうした人々の生活を苦しめ、日本を「貧困化」させ、「1億総貧困化」に拍車をかけることになる。

今の日本に必要なのは、消費増税ではなく、「消費減税」だ。それを政党で唯一、立党以来一貫して主張してきたのは、幸福実現党のみである。

(山本慧)

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