香港の"民主の女神" 周庭さん「逃亡犯条例」の危険性訴え「香港の自由を守りたい」

香港の"民主の女神" 周庭さん「逃亡犯条例」の危険性訴え「香港の自由を守りたい」

明治大学で講演を行う周庭さんは、日本に民主化を支援するよう求めた。

 

「一国二制度」として中国から高度な自治を約束されていた香港。しかし今、その自由が消滅の危機に瀕している。

 

中国で民主化運動が武力弾圧された天安門事件から30年の節目を迎えた6月4日、香港で18万人規模の集会が開かれた。9日には、香港の立法会(議会)が検討している「逃亡犯条例」の改正案に反対する大規模なデモが行われ、103万人が参加した。

 

「逃亡犯条例」とは、香港で拘束された容疑者の身柄を、中国本土に引き渡せるようにするもの。中国共産党に批判的な活動家も、中国へ引き渡される恐れがある。

 

香港政府は「政治犯は対象外」としているが、民主派は「中国が事件をでっち上げ、香港の活動家の引き渡しを求める可能性もある」と懸念している。

 

そんな中、雨傘運動のリーダーの一人で、「民主の女神」と呼ばれる周庭(アグネス・チョウ)さんが12日、明治大学で講演を行い、香港に迫る危機を訴えた。以下、周庭さんが日本語で語った内容をそのまま紹介する。

 

◆        ◆        ◆

 

「香港に来る人全員に危険が及ぶ」

周庭さん: 今、香港政府は「逃亡犯条例」の改正案を提案していて、もしこの改正案が可決されたら、香港人が中国大陸に引き渡される可能性が出てきます。香港人にとって非常に危ない改正案です。そして香港人だけでなく、観光客や記者、ビジネスマンなどが香港に来たら、全員中国に引き渡される可能性が出てきます。

 

香港の立法会で今審議が進んでいるので、今日(12日)もたくさんの香港人が立法会の周りの道路を占拠しています。香港立法会の議員は、半分だけが民主的な直接選挙から生まれた議員です。

 

つまり、中国政府が、香港立法会の半分以上の議員をコントロールしている状態です。民主派よりも親北京派の方が多いので、例えば今日、投票を行ったら、可決される可能性が非常に高いです。

 

 

「中国共産党は罪をつくりあげるのが非常にうまい」

周庭さん: 中国には公平、そして透明な裁判が一切ありません。そして「司法の独立」がなく、法廷も中国共産党の「政治的な道具」として利用されています。人権と自由の保障もないのです。中国は「法治社会」とは言えない国ですから、たくさんの問題があります。

 

中国共産党が好きじゃない人たち(反体制派)、特に人権を求める弁護士や活動家は、中国で酷い目に遭っています。たとえば、恣意的に拘束されて逮捕されたり、拷問されたりすることもあります。拘束された人たちが、不思議な形で死んでしまったこともあります。

 

香港の立法会でこの改正案が可決されたら、中国共産党が気に入らない活動家、弁護士、記者などが、たとえば国家安全法違反など、いろんな罪で中国に引き渡される可能性があります。

 

大事なことは、「中国共産党は人の罪をつくりあげることが非常にうまい」ということです。中国政権は、経済的な罪、腐敗、交通ルールに関する罪など、他の罪をつくりあげるという手段をよく使います。

 

香港政府は「政治犯は引き渡さない」と言っていますが、香港人はみんな中国政府の手段を分かっているので、誰も信じていません。政治的な活動をしている人でも、他の罪をつくりあげることは簡単なので、とても心配しています。

 

 

「香港は想像もできない場所になる」

周庭さん: この法案が可決されたら、香港の社会全体に悪影響があります。香港の自由や権利の保障、司法の独立、全部なくなると思います。権利だけでなく、私たちの身の安全すら保障されない場合もあります。

 

香港は、なぜこれほど外国からの観光客や企業を集めているのかというと、国際金融都市の地位があるからです。「一国二制度」があり、中国とは違う「法治社会」であり、「司法の独立」があって公平な裁判が行われる場所だからこそ、外国の企業や外国人も安心して香港でビジネスができているのです。

 

しかし、もしこの改正案が可決されたら、この特別な地位はなくなるかもしれません。

 

「政治的な誘拐」が合法化される危険性については、2013年に香港で銅羅湾(どらわん)書店の事件がありました。香港で中国政府を批判する本を売っていた書店です。こうした本を香港で売ることは、もともとは法律違反ではありませんでしたが、5人(の店員)がいろんな場所から中国に移送されました。

 

法律違反をしていなくても、中国政府のやりたい放題になれば、私たちにとって命の脅威になります。今、デモに参加している香港人が中国に誘拐されるようになってしまったら、香港は香港でなくなり、私たちが想像もできない場所になります。

 

 

「日本政府もはっきり言ってほしい」

周庭さん: 6月9日、103万人が(改正案に)反対するデモを行いました。香港人だけでなく国際社会からも反対する声が上がりました。カナダ、イギリス、アメリカ、EUは、それぞれ声明を発表し、改正に反対するというスタンスを明確にしました。

 

今回、私が東京に来たすごく重要な理由の一つは、日本はもともと香港との経済的なつながりがあって、たくさんの日本企業も香港に進出していますが、日本政府はまだ改正案に対して、自分の意見をあまり言っていない気がしているからです。

 

今月5日の衆議院の外務委員会で河野外務大臣が改正案について返答しました。河野大臣の答えは、「香港には一国二制度、そして司法の独立があるので、この改正案は、私たち日本人が大声で叫ぶべきものではありません」というものでした。

 

しかし、香港人の私にとって、香港の一国二制度はもうすぐ一国一制度になる気がしていますし、司法の独立も、(改正案が)可決されたらなくなる、危険な状況になるかもしれません。

 

「日本の政治家にもちゃんと改正案に対して自分の意見をはっきりしていただきたい」という気持ちを持って、今回東京にやってまいりました。

 

 

香港警察の職権乱用と暴力

周庭さん: 香港では今、大きなストライキが起きています。今日1000以上のお店が改正案に反対する運動のために休業しています。

 

昨晩、警察が職権を乱用して若者の身体検査を行いました。警察は本来、罪状も言わずに身体検査をする権力はありませんが、デモ参加者だけでなく一般人にも身体検査を行ったり、レストランにまで入ってきてIDカードをチェックしたりしています。発砲したり催涙スプレーを使ったりするなど、警察からの暴力のレベルはますます上がっています。日本人も日本のメディアも、香港の現状にもっと注目してほしいです。

 

 

「香港は私の家。守りたい」

──(会場からの質問)周さん自身が政治活動を続けているモチベーションは?

周庭さん: 責任感だと思います。私は日本のメディアの取材を受ける際、よく日本メディアに「日本マニア」とか「日本が好き」とか書かれているんですけれども、日本も好きですが、私にとって一番好きな場所は香港です。私の生まれた場所は香港だし、ずっと生活してきた場所も香港だし、香港は私の家です。だから、こんなに私が好きな場所を守りたいという気持ちがすごくありますし、今も、帰りたくて帰りたくて、ちょっと泣きそうになりました。

 

雨傘(革命)の時もそうでしたし、この7年間、香港の社会活動に参加してきて、たとえば警察が暴力を使ったりする時に、自分の仲間や香港の未来に理想を持って、希望を持っている若者たちが血だらけになってケガしちゃって本当に悲しいです。

 

香港は歴史の中で、1990年代の時には、他の国から難民を受け入れる場所でした。しかし今、香港は政治難民をつくる場所になりました。それが香港人として、とっても悲しいです。

 

香港政府のキャリー・ラム(行政長官)が東京に来た時、「香港には一国二制度がある」「自由の保障がある」「法治社会である」と自慢していたのに、そういう香港の誇らしい部分や良さを破壊しているのは、実は今の香港政府であり、中国共産党政権です。だから本当に悲しくて。でも、香港に対して希望を持たないと続けられないと思っているから、ここまで続けられました。これからも続けたいです。(拍手)

 

 

「日本人も香港の経験から学んで」

周庭さん: 日本人の皆さんも、香港の経験から、自分が生きている社会に対して関心を持つ重要さを知ってほしいと思います。日本は、「政治に興味がない」とか、「政治について話している人は変な人」と思うような国かもしれませんが、実はそんなことはなくて、政治は私たちの日常生活だと思います。

 

日本の皆さんにも、自分の国に何が起きているのかということにぜひ関心を持って、もっとニュースを読んでほしいなって思います。

 

 

香港の未来は香港人が決めるべき

──(会場からの質問)どういう民主政治を求めて活動しているんですか?

周庭さん: 雨傘運動で、私たちは「民主的な普通選挙」を求めました。香港人にとって民主的な選挙は大事です。でも民主的な選挙は、民主主義のすべてではないと思います。日本はその証だと思います(会場苦笑)。ごめんなさい。香港人は民主の意識が高いと思います。今、ニュースを観ればそれは分かると思います。でも、民主的な制度はないんです。

 

だから、私が所属しているデモシスト(香港衆志)という政治組織は、「民主自決」を提案しています。香港の未来は香港人が自ら決めないとだめ、という提案です。だから本当の民主主義とは、政治だけではなく、日常生活も香港人が決めないとだめであって、政権に決められるのは本当の民主政治ではないと思います。

 

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香港がこのまま中国の体制にのみ込まれてしまうのか、自由を守り抜けるのか、いま世界が注目している。

 

大川隆法・幸福の科学総裁は2014年、香港の雨傘革命直後に発刊した著書『国際政治を見る眼』で、次のように述べた。

 

私は、香港は、厳しい状況下にはなると思うものの、頑張れば、中国を民主化に持っていけるかもしれないと思うのです

 

香港人の自由を守る運動が、中国を変える力になることを期待したい。

(国際政治局 小林真由美)

 

【動画】明治大学での周庭さんの講演の様子

 

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タグ: 香港  雨傘運動  デモシスト  周庭  アグネス・チョウ  逃亡犯条例  

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