雅子さまが憲法改正を加速させる? ──新皇后陛下は「権力」を目指すのか - 編集長コラム

雅子さまが憲法改正を加速させる? ──新皇后陛下は「権力」を目指すのか - 編集長コラム

写真:ロイター/アフロ。

 

2019年7月号記事

 

編集長コラム Monthly  Column

 

雅子さまが憲法改正を加速させる?

──新皇后陛下は「権力」を目指すのか

 

 

 5月に新天皇が即位され、日本中、祝賀ムードに包まれた。

 2700年続く天皇の歴史は「世界史の奇跡」でもある。令和の時代以降も守り続けなければならないものだ。

 

 

権力との距離と宗教性

 天皇の伝統を守り、支えてきた要因は大きく二つある。一つは、権力者と一定の距離を保ったこと。平安中期の摂関政治以降、政治の中心から離れ、藤原氏や武家が権力を握った。父親の血筋をさかのぼれば神武天皇にたどり着く「男系男子」の皇位継承も、皇室を最高権力者に乗っ取られないための手段だった。

 もう一つは、天皇家が日本神道の最高神官の役割を守ってきたこと。実は平安時代から幕末までは仏教信仰も重視されており、国民に災厄をもたらす邪霊を祓う仏教祭儀を行っていた。こうした皇室の「宗教性」や「徳」が、俗世の権力者にとって侵しがたいものとなってきた。

 

 

権力に近く、宗教性も薄い

 ただ、政治権力との距離は明治時代、天皇が元首で実質的な「主権者」となったことで一体化。敗戦後も首相の任命や、憲法改正と法律の公布、国会の召集・衆院解散などさまざまな権限が形式的とはいえ残った。

 また、皇室の宗教性も明治期に仏教信仰が取り除かれ、敗戦時にも天皇の「人間宣言」と新憲法の政教分離の規定によって弱められた。そのため、ヨーロッパの王室のような"世俗的"なスタイルとなった。

 政治権力に近く、宗教性が薄まった現代の皇室は、令和以降、どうなっていくのか。

 

天皇の歴史を守ってきた柱

1. 政治権力との距離を保つ

2. 神道の最高神官の宗教性

   ↓ ↓ ↓

令和の時代は―

1. 戦前の天皇元首の時代に戻る?

2. 祭祀軽視で宗教性が薄れる?

 

 

最高レベルの能力の皇后

 今までの皇室の歴史において特別な要素として、雅子皇后陛下の存在がある。

 米ハーバード大を卒業。外交官試験に合格に伴い東大を中退。入省後、英オックスフォード大に留学。3カ国のトップの大学で経済学や政治学、国際関係学を学んだ才媛中の才媛だ。外交官として日米貿易交渉に関わり、今の「米中貿易戦争」にも専門的な意見を言えるだろう。

 日本で最高レベルの学歴と能力を持った方が皇室に入り、皇后陛下として"活躍"されるのは過去に例がない。天皇としてもそれだけの能力の人物は、近くは昭和天皇や明治天皇。近世・中世では桓武天皇ぐらいだろうか。

 雅子さまは浩宮さま(当時は皇太子)から「皇室外交ができるから」と説得されたという。1993年の婚約時の記者会見でも「皇室という新しい道で自分を役立てる」と述べ、自身の知識・経験を生かすことに強い意欲を示されていた。

 しかし、実際には外国の王族、政治家、大使などに会う際に求められるのは、儀礼的な発言のみ。ついに浩宮さまは「キャリアや人格を否定する動きがあった」と言及されるに至った。

 ただ、今後、皇后陛下となられ、自らの意思で制約を取り除き、発言されるかもしれない。

 

 

神道の祭祀に「適応障害」

 雅子さまは外交官的な仕事を求めていたこともあり、日本神道の祭祀になじめなかったようだ。このため、「適応障害」として長い療養に入られていた。

 保守系の識者たちからは一時、浩宮さまに対し、「退位宣言されたらどうか」といった厳しい声も出るほどだった。

 今も療養は続いており、天皇・皇室の宗教性は不安定な状態となっている。

 

 

「権力」を取り戻す皇室改革

新上皇と新皇后のスピリチュアルメッセージ

新上皇と新皇后のスピリチュアルメッセージ

大川隆法著

幸福の科学出版

 令和元年の初日の5月1日、雅子皇后陛下の守護霊が幸福の科学の大川隆法総裁のもとを訪れ、その霊言が収録された。

 雅子さまの守護霊は、天皇の「権力」を取り戻す「皇室改革」を訴えた。

「(天皇を)元首に戻すのが私の仕事です」「『実質上の天皇』は私ですから

昭和天皇のレベルまでは戻します、どうしても。できたら、明治帝のところまで戻したい

 外国のトップとの会談では自身の考えを明確に述べるのだという。そうなれば天皇と政治権力との距離は限りなく近くなる。

 また、神道の祭祀については、「人間の心は頭脳にある」として受容できないと明言した。

 地上の雅子さまは療養継続中で、守護霊の考え通りに行動されないかもしれない。ただ、もし改革を実行に移されるなら、皇室の危機がやって来る。

 

 

誰に政治の決定権?

 今夏の参院選は、憲法9条の改正が一つの争点だ。しかし令和の時代には、天皇・皇室についての憲法改正も重要となる。それは皇后陛下の「皇室改革」が促進するかもしれない。

 首相の任命などの天皇の権限は形式的なものとはいえ、天皇が強い意思を持てば行使できる。天皇が御璽を押さなければ、「拒否権」が発生する。これは現憲法の大きな欠陥の一つだ。

 同時に、日本の政治体制は、誰に決定権があるのか分からないという問題がある。

 首相が決めているのかと思えば、天皇に権限があるようにも見える。法律は国会議員が決めているが、実際はほとんど官僚が作成し、お膳立てしている。

 日本の場合、行政権が官僚や国会、与党の派閥、天皇、さらにはマスコミにまで分散されていて、「決められない政治」が続く。1980年代までの右肩上がりの時代はそれでよかったが、90年代以降は、経済も国防も現状維持しか選べなくなっている。

 天皇の位置づけも含め、政府の意思決定のプロセスを変えていかなければならない。

 天皇・皇室の伝統を守るという観点からはやはり、政治権力との一定の距離をとり、神道の最高神官としての役割を明確にすることがポイントとなる。

 

 

トップ一人の責任の大統領制

 2012年に発表された自民党の憲法改正案は、「天皇は、日本国の元首」とする。政治権力により接近し、決定権が分散している問題に答えていない。

 一方、幸福実現党が2009年に出した「新・日本国憲法試案」は、大統領制の導入を謳い、行政の責任者、決定権者を一人に絞っている(下条文参照)。

 評価は分かれるが、トランプ米大統領の決断で、この30年にわたって中国が経済成長し、軍事大国化してきた構造を貿易戦争などによって一気に崩壊させるところまできている。

 アメリカ建国の父の一人、ハミルトンはこう述べている。

「政府機能が弱まっていることは、とりもなおさず悪政が行われていることにほかならない。うまく運営されていない政府など、理屈で何といおうと、実際には悪しき政府にほかならないのである」(『ザ・フェデラリスト』)

 日本の弱い行政は「悪政」の典型だ。アメリカはトップ一人の責任で行動できる大統領制を選び、世界一の大国へ成長した。

「試案」は天皇家を文化的、つまり宗教的な伝統として守るとしている。権力と距離をとり、宗教家の家系を守ることが目的だ。

 

新・日本国憲法試案(抜粋)

【前文】

われら日本国国民は、神仏の心を心とし、日本と地球すべての平和と発展・繁栄を目指し、神の子、仏の子としての本質を人間の尊厳の根拠と定め、ここに新・日本国憲法を制定する。

【第三条】

行政は、国民投票による大統領制により執行される。

【第十四条】

天皇制その他の文化的伝統は尊重する。

 

 

「水平権力」の時代を創る

 大統領制は国民各層から優れたリーダーを直接選び出す制度。「アメリカ独立宣言」は「創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」と謳う。

 つまり大統領制には「神の子としての国民が政治参加し、自分たちの国を自由につくり変えていくことができる」という主権在民の理想が込められている。

「試案」には、「神仏の心を心とし、日本と地球すべての平和と発展・繁栄を目指し」とある。アメリカにも劣らない「神仏の子による民主主義」の理想が盛り込まれている。

 これまで、天皇の徳の下に世俗の権力者が競い合う「垂直権力」的な統治が、日本の政治のあり方だった。「試案」は、国民が自らの神仏の子としての徳によって国を治める「水平権力」の時代を創り出そうとしている。それが日本の新しい精神的主柱となるだろう。

 雅子皇后陛下は現実に、明治や戦前の「垂直権力」の時代に戻そうとされるかもしれない。恐れながら、皇室外交を重視される場合でも、政治との距離を保ちつつ、宗教家の伝統を守ることと調和する中での自己実現をお勧めしたい。

(綾織次郎)

 

写真:AFP/アフロ

 

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