2回目の米朝首脳会談では、両国の隔たりが浮き彫りになった。写真:AFP/アフロ。

2019年5月号記事

決裂に終わった米朝会談

軍事攻撃の準備を進めるアメリカ

北朝鮮はアメリカとの核協議の停止を検討しており、ミサイル発射の準備をしている可能性があると、複数のメディアが報じている(3月18日時点)。このきっかけになったのが、2回目の米朝首脳会談だ。

ベトナムで2月末に行われた米朝会談は、「非核化の合意」にいたらず、決裂に終わった。

トランプ大統領は会談後の記者会見で、合意しなかった理由について、「(金正恩・労働党委員長が)制裁の全面解除を要求したため」と語った。

金氏は、老朽化が進む寧辺の核施設の廃棄や査察受け入れという条件で、制裁の全面解除を求めた。しかもアメリカが先に制裁解除に動くという条件だったという。つまりミサイルや核弾頭、申告していない高濃縮ウランを生産する核施設など、大半の核能力を温存したまま、制裁を解除させようとしていた。

トランプ氏は、「北朝鮮に完全な非核化を求める」という当初の意思を貫き、安易に妥協すべきでないと判断。記者会見では、「早くやるよりも正しいことをしたい」と語った。

米朝会談後、ボルトン大統領補佐官はFOXビジネスのインタビューで、「(北朝鮮が非核化しなければ)経済制裁が緩和されることはなく、我々は制裁強化を検討する」と述べ、制裁路線を続ける意向を明らかにした。