大阪お好み焼チェーン「千房」が出所者雇用を続けるワケ 中井社長インタビュー全文 前編

大阪お好み焼チェーン「千房」が出所者雇用を続けるワケ 中井社長インタビュー全文 前編

社長室には、自著の題名でもある「できるやんか!」という言葉を掲げる。

 

中井 政嗣

プロフィール

(なかい・まさつぐ)お好み焼チェーン「千房」社長。中学卒業とともに丁稚奉公を始め、1973年にお好み焼専門店「千房」を開店。国内外に69店舗を構えるチェーン店に成長させる。

大阪発祥のお好み焼きチェーン「千房」は、刑務所や少年院からの出所者、出院者を雇用している。職を持たない出所者の再犯率の高さを知ったことがきっかけだ。その後2013年には、企業が連携して出所者を雇用する「職親(しょくしん)プロジェクト」を開始。7社からスタートした同プロジェクトには、現在112社が参画する。

 

中井社長に、出所者雇用に込める思いを聞いた。

 

今回は前編。

 

◆       ◆       ◆

 

――刑務所や少年院からの出所者、出院者を採用される理由をお聞かせください。

中井政嗣社長(以下、中): ええかっこ言うわけではないですが、何か問題ありますか。

 

以前、浪速少年院で講話をする機会がありました。講話が終わった後に、院生から質問があったんです。「中井社長は、なぜ私たちのような罪を犯した人間を採用されるんですか」と。それに対しても、「何か問題ありますか」と答えました。

 

確かに、彼らは罪を犯した。でも、それは過去のことです。彼らは少年院でしっかり反省をし、もう二度とそういうことはしないと誓って社会に出てきているんです。

 

先日、丸亀少女の家という、15歳から20歳の女性が収容されている少年院で講話をさせていただきました。それを聞いた大阪出身の16歳の女の子から、こんな感想文が送られてきました。読み上げます。(一部抜粋)

 

「今回の講話は、これからの自分の将来にめっちゃ役立つことばっかりやったし、聞いたことを活かすことができたら、自分の大きい力になるんやろうなって感じました。今回いろんな話を聞かせてもらって、どれが一番ええとかは決められへんかったけど、でも、その中でも特に心に響いた言葉は、『人生を変える出会いもあれば、人生を覆すような出会いもある』っていう言葉です。

 

自分は、最近やっと16歳になりました。少年院に来ることになった原因は家庭環境が崩壊していたからです。そんなときに、自分が出会ったのが、犯罪や非行でした。でも、正直虚しくて、辛くて、悲しくて、誰か助けてっていう思いがめっちゃありました。自分の一部でも必要としてくれてるとか、自分を受け入れてくれてる、認めてくれてるって思うと、めっちゃめっちゃうれしくて。そういう大人にすぐついていっちゃう。信じたいって思っちゃって。結局裏切られて利用されちゃう羽目になって、最後に泣くのはいつも自分でした。

 

自分にとっては、15年間生きてきた中で、そういう大人との出会いや出来事が自分の人生を覆すような出会いでした。

 

でも、捕らまって、少年院に入って。担任を持ってくれる先生、自分のことを思ってくれ、指導してくれる先生。口うるさく叱ってくれる寮主任。自分たちのために社会に出て、役に立つことを学ばせてくれる講師の先生方。今回、「少女の家」に来て講話をしてくれた千房の社長さんなど、いっぱいいい人たちに出会いました。

 

こんなに温かい人達がおるんやって感動しました。自分はそういう大人に出会うことができて、生まれて初めて幸せもんやなあって感じることができました。自分は少年院に来てからの出会いを、人生を変える出会いにしたいってめっちゃ思います。

 

あと、今回の職親プロジェクトの話を聞いて、自分も仮退院した後に、千房で真面目に働きたいなってめっちゃ思いました。なんか、こういういい出会いをこれからほんまに大事にしていきたいなって感じました」

 

罪を犯したことはもちろん悪いことです。ただ、100%本人を咎められない場合もある。この子たちもまた、犠牲者なんですね。

 

 

「自分」と「未来」は変えられる

中: 出所者雇用の原点は、創業当時にさかのぼります。

 

45年前にお好み焼屋を創業した時、いくら募集しても従業員が来てくれませんでした。猫の手も借りたいほどだった。なので、言い方は悪いですが、猫以上の人間だったらどんな人でも採用しようということで、経歴不問で採用し続けてきました。

 

その中に、実は非行少年少女、少年院や鑑別所にいた人、あるいは元受刑者が入社していたんです。当時は知りませんでしたが、彼らが立派に更生し、やがて店長になり幹部になっていく姿を、この目で見てきました。

 

ある時、社員寮に行くと、店長を務める青年がアルバムを見せてくれました。そこには、オートバイにまたがって棒を持っている鉢巻き姿の青年が写っていました。

 

「これ誰なん」。私がそう聞くと、「私です」って。暴走族のヘッドだったんですね。その時、「人間って変われるんやな」って思ったんです。

 

自分自身を振り返っても同じことが言えます。

 

おふくろに、「私がこうなるなんて考えられたか」と聞いたことがあります。私のことを誰よりもよく知っている母親ですが、「まさかお前がこうなるなんて、夢にも思わなかった」と言いました。

 

その時に改めて、「人間って無限の可能性を秘めてるんやなあ」って気づいたわけです。生まれてから今日までの過去、昨日までのことは変えることができない。でも、自分と未来は変えることができる。

 

経営も人の教育も、マラソンではなく駅伝だと思っています。自分のしてもらったことを次にバトンタッチしていくことが大事です。

 

私も、今までの人生を振り返ると、いろんな人たちに支えられたお陰で今があります。この「恩返し」を次につなげていかなければなりません。

 

 

――2013年には、企業が連携して出所者を雇用する、「職親プロジェクト」を立ちあげました。

中: 少年院や刑務所で反省し、真面目に勤めていたとしても、身元引受人と居住地がなければ、刑期満了まで出ることはできません。一方で、刑期が満了した場合は身元引受人も住む所もないまま放りだされると。これは間違いなく再犯につながります。

 

私たちのしている「職親プロジェクト」は、身元引受人となり、居住地と職場を提供するというものです。

 

今までも、「協力雇用主制度」といって、受刑者への就労支援のシステムはありました。ただこれは、ハローワークを通じての採用。

 

これに対して職親プロジェクトは、刑務所内で採用募集をし、服役中に面接をして内定を出すという、前代未聞のやり方です。着の身着のままの出所者を、企業側が衣食住を全部取り揃えて迎え入れます。

 

企業が連携するメリットとしては、A社で採用して合わない場合に、B社で働くことができる。それでもあかんかったらC社でどうですかと。参加している企業みんなで、採用した人を支えていこうというシステムです。なので、参加企業で情報を共有して、成功例はお互い吸収していき、失敗例は教訓にする。

 

参加企業は、刑務所や少年院にいた人たちを採用しているということを、社会にオープンにしています。名前の知れている企業が受刑者の就労支援をしているということを、世に知らしめることが大事なんです。なぜならば、彼らの受け皿は社会です。私たちが受け入れをオープンにすることによって、「千房だってそういうの受け入れてんで。別に問題ないやんか」と、少しでも偏見を緩和してもらいたいのです。

(後篇に続く)

【関連記事】

2018年9月5日付本欄 大阪お好み焼チェーン「千房」が出所者雇用を続けるワケ 中井社長インタビュー全文 後編

https://the-liberty.com/article.php?item_id=14854

タグ: お好み焼  千房  中井政嗣  著名知識人  出所者雇用  刑務所  少年院  

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