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《本記事のポイント》
- 米共和党議員が孔子学院などの監視強化を求める法案を提出
- 孔子学院は文化交流機関を自称するプロパガンダ機関
- 中国共産党に洗脳されないよう、日本でも法整備が必要
アメリカで、中国語や中国文化の普及拠点として中国政府が全世界に展開する「孔子学院」を危険視する声が高まっている。
米共和党議員がこのほど、孔子学院などに対して監視強化を求める「外国影響力透明化法案」を上下両院に提出した。共和党のマルコ・ルビオ上院議員、トム・コットン上院議員、ジョー・ウィルソン下院議員の3人によるものだ。
同法案は、孔子学院への監視に加え、全米の大学に、外国機関や団体などから5万ドル相当の贈答品や寄付、契約などを受領した際の開示を義務付けることを求めている。
こうした動きについて、中国外務省の華春瑩(かしゅんえい)報道官は22日の記者会見で、「時代遅れの考え」だと批判した。
2月にも、FBIが孔子学院について捜査を進めていることが明らかになっており、孔子学院をめぐる米中の攻防が繰り広げられている。
146カ国、1500カ所以上に広がる
孔子学院は、世界各国の大学などの教育機関と提携し、中国語学習や中国文化体験の場を提供する機関だ。例えば、米名門公立大学のカリフォルニア大学バークレー校では、同学院が料理教室や書道教室、中国の伝統的な楽器を体験できる音楽教室など、さまざまな文化体験の場を設けている。
一見、単なる「文化交流」に見える活動だが、実際には中国共産党のプロパガンダ活動の拠点となっている。
孔子学院の授業では、共産党がタブー視する天安門事件や法輪功、チベットなどの民主化運動や人権問題に関するテーマは一切扱われず、中国共産党の正当性を強調する内容になっている。また、米大学がチベット亡命政府のダライ・ラマ師を講演に招いた際には、同学院の介入により講演が中止になったこともある。
文化交流機関の体裁をとっているが、実際には中国共産党に不都合な内容の授業が行われないよう、諸外国の教育機関に介入している。こうした中国共産党のプロパガンダ機関であるとも言える孔子学院は、すでにアメリカに100校以上存在しており、米議員が危機感を訴えるのは当然のことだろう。
2017年12月に中国で行われた「第12回世界孔子学院大会」によると、孔子学院は世界146の国と地域で525校、小規模な孔子教室は1113カ所に開校しており、計1500校以上を展開している。
日本でも、早稲田大学や立命館大学、桜美林大学や武蔵野大学などに孔子学院が設立されており、純粋に中国語や中国文化を学びたい日本人が孔子学院に通い、いつの間にか洗脳されてしまう恐れがある。
実際、同学院は安価に中国語講座を受けられることで定評がある。例えば、日本のある大学に併設される孔子学院では、通年28回の中国語講座のコースを5万円ほどで受けられる。一般の中国語教室が月4回の講座を2万円ほどで提供していることを考えると、格安だ。
安さにつられて通った結果、少しずつ中国共産党の思想に染まっていた――。ということが起きないよう注意が必要だ。アメリカを見習って、日本でも法整備を求める声をあげるべきだろう。
(片岡眞有子)
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