《本記事のポイント》

  • 関西電力は大飯原発を再稼働させ、7月の電気価格を引き下げる方針
  • 消費者が負担する「再エネ賦課金」は、5年で12倍に高騰
  • 原発停止による化石燃料の輸入代も上乗せされており、早期の原発再稼働を

関西電力は14日、福井県の大飯原子力発電所3号機を再稼働させ、4月上旬に営業運転を始める予定だ。再稼働は4年6カ月ぶりで、国内で6基目となる。

関電は5月中旬に同原発4号機も再稼働させ、7月にも電気価格を引き下げる方針。3、4号機の再稼働で、90億円の収益改善となる見通しで、首都圏や中部地方などへの電力販売に弾みをつけたい構えだ。

再エネ賦課金が12倍に高騰

原発の再稼働が進まない中、政府は「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」を原資に、太陽光発電や風力発電などを普及させようとしている。電気を使用する消費者が負担する仕組みとなっており、毎月送られてくる請求書にも、負担額が記載されている。

ただ、多くの消費者はこの制度の存在を知らず、いつの間にか、高くなった電気料金を支払い続けている。それもそのはず。2012年度の標準家庭の再エネ賦課金は、月額66円で、年間792円だったものの、2017年度には、月額792円で、年間9504円に高騰しているのだ。つまり、5年間で、12倍に跳ね上がっている。

将来の再エネ賦課金は消費税1.6%分に達する

電力中央研究所が昨年3月に試算した資料によると、再エネ賦課金は2030年度の単年で3.6兆円となり、2016年度の1.8兆から倍増。2030年度までの累計総額は、約44兆円に達するという。この総額は、国民一人あたり、約35万円の負担となる。

このままいくと、2030年度には、再エネ賦課金の負担が、単年で「消費税1.6%分」となり、低所得者への重い負担になるのは目に見えている。

これに加え、原発停止による化石燃料の輸入により、2011年からの6年間で、15兆円を超える国富が流出したとされている。もちろん、この輸入代金も、電気料金に上乗せされている。

「原発が停止しても、電力を賄うことができる」という主張があるが、国民が知らず知らずのうちに、負担を強いられている現実を見落としてはならないだろう。しかも、その負担はこれからも増え続ける公算が大きい。

脱原発も、いばらの道だ。早期の原発再稼働が求められる。

(山本慧)

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