来年の韓国大統領選で、野党の有力候補とされる「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表は15日、ソウルで記者会見し、慰安婦問題をめぐる日韓合意について否定的な見解を示した。

文氏は「(合意の)正当性を認めることは難しい。日本がすべきことは法的責任を認め、公式に謝罪することだ」と主張した。

韓国の調査機関「リアルメーター」が同日に発表した世論調査によれば、文氏が支持率24%と独走している。

親友を国政に介入させた問題で、退陣を迫られている朴槿恵(パク・クネ)大統領は、11月29日に辞任の意向を表明した。また、12月9日には朴氏の弾劾訴追案が国会本会議で可決となり、同氏は職務停止を命じられ、憲法裁判所が180日以内に罷免についての判断を下すまで、国政から退くこととなっている。

このような状況において、文氏が大統領になった場合、「日本軍の従軍慰安婦問題を最終かつ不可逆的に決着させる」として2015年12月に結ばれた日韓合意は反故となる可能性が高い。安倍政権が元慰安婦支援のための財団へ10億円を拠出したことも、全く意味をなさなかったということだ。

ご機嫌取りだった日韓合意

そもそも日韓の戦後賠償は1965年の日韓基本条約で一切が解決しているはずである。この条約で、「日本の韓国に対する経済協力」及び「韓国の日本に対する一切の請求権の放棄」に基づく、日韓の国交正常化が取り決められた。

この際、日本は韓国の国家予算(当時)の2.3倍もの金額を支払っている。

しかし、韓国はその後も「一切の請求権を放棄」したはずの問題について、何度も「謝罪」と「賠償」を求めてきた。

さらに言えば、いわゆる「従軍慰安婦」というものも、創作にすぎない。吉田清治という人物が、自身の戦争犯罪として、大戦中に、韓国の済州(チェジュ)島で朝鮮人女性を強制連行して慰安婦にしたと「告白」。しかし、出版から8年程経った後、内容が創作であったことを認めている。

創作であったことを証明するように、上記の日韓基本条約の締結時、慰安婦問題は議題にすら上がっていなかった

そのような、創作された「従軍慰安婦問題」に対して安倍晋三首相は、日韓合意で、韓国の慰安婦が「軍の関与」の下にあったことを認め、「心からのおわびと反省」を表明したのだ。これにより、世界に「日本政府は『従軍慰安婦』を認めた」というメッセージが発信された。

日本政府は、この日韓合意により、慰安婦問題は「最終的・不可逆的に解決」されると考えたが、本欄でも指摘してきた通り( http://the-liberty.com/article.php?item_id=10703 )、一方的に反故にされてしまうことは見えていた。文氏が大統領に就任すれば、再度「謝罪」と「賠償金」が求められるだろうが、日本政府は1年間の「ご機嫌取り」の代償のために、従軍慰安婦の存在を世界に発信し、10億円の税金を支払ったことになる。

「ご機嫌取り外交」の限界

日本政府の、謝罪や賠償金、玉虫色の回答によって問題を先送りする、「ご機嫌取り外交」に限界が来ていることは明らかだ。日韓合意のようなことを繰り返していれば、日本は「ゆすれば金をくれる国」として、延々と賠償金を請求され続ける。

日本政府は八方美人的な外交をやめ、「従軍慰安婦というものは存在しなかった」という事実をはっきりと発信する必要がある。

(片岡眞有子)

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