映画「聲の形」 聴覚障害者を支援する児童指導員はどう見た?

映画「聲の形」 聴覚障害者を支援する児童指導員はどう見た?

公式ホームページより。

 

「人間というのは人のことを完全に理解したと思っていても、全然わかっていなかったりする――」

 

9月に全国の映画館でロードショーされ、大ヒットを記録している映画「聲の形」(こえのかたち)。聴覚障害者のいじめをテーマにした本作は、人が複雑な人間関係にどう向き合い、乗り越えていくのかを問うている。冒頭の言葉は、映画のコンセプトを示すものとして公式HPに紹介されているが、いつの時代の人間も悩む"真理"を言い表していると言える。

 

テーマが聴覚障害という社会的な問題を扱っているだけに、原作となった少年誌に掲載するまでにも、さまざまな困難があったという。しかし原作は、2015年のマンガ大賞で3位に輝き、思わぬ評判を生む。そして、映画「けいおん!」のメガホンをとった山田尚子監督の手により、映画化されることになった。

 

 

「聴覚障害者の理解が広がる」

では実際に、聴覚障害者を支援する人は、本作をどう評価しているのだろうか。東京都内の施設で、児童福祉員として働く20代男性に話を聞いた。

 

「個人的には、映画に描かれていることがすべて事実とは言いませんが、社会に対して、聴覚障害者の理解が広がるものだと評価しています」と語る。

 

男性が指す聴覚障害者の理解とは、「聴覚障害は目に見えない障害」という点だ。

 

例えば、視覚障害者であれば、白い杖を持っているなど、外見で見分けられる。だが、聴覚障害者は、一見すると、健常者と何も変わらない。仮に聴覚障害者であると認識できても、補聴器を付けている人もいるため、「実は聞こえているのでは」と誤解を受けるケースもあるという。ただ、補聴器を付けても、聞き取る能力には差がある。

 

 

周囲はどう接したらいいか……

児童指導員の男性は、聴覚障害者の特徴を示す例として、次のように語る。

 

「目が見えない人であると分かれば、手を引くなどして手助けすればいいと判断できます。しかし、聴覚障害者の場合は、そもそもコミュニケーションをとることが難しいので、周囲はどう接したらいいのか分からなくなります。筆談にしても、書くのに時間がかかりますし、書いても理解できないことがあります。ですから、映画で描かれているように、いじめに発展することが起きるのです」

 

どう接したらいいか分からない。だから、いじめにつながる。単純なボタンの掛け違いが悲劇へと誘ってしまう。しかし、人間はそんなに愚かな存在なのか。

 

男性は、映画を見た感想として、「人は見る方向を変えるだけで、世界の見え方も変わる」と話してくれた。

 

理解し合えないからこそ、人はコミュニケーションをとろうとする。その先に、分かり合えるものがあるはずだと願いながら――。

 

この考えは、障害の有無に限らない、人間関係を円滑に進める方法だ。

 

人は、心の持ちようによって、過去も未来も変えられる。「目に見えない障害」は、人間が忘れてはならない心のあり方と、相手を理解しようとする愛の大切さを教えている。

(山本慧)

 

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タグ: 聲の形  聴覚障害者  山田尚子  児童指導員  ロードショー  マンガ大賞  

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