米ワシントン・タイムズ紙がこのほど、ノーベル委員会ゲイル・ルンデスタッド元議長の回顧録を紹介した。

ルンデスタッド氏は、25年間議長を勤めたキャリアを振り返り、2009年にオバマ氏にノーベル平和賞を与えたことを後悔しているという。

「実績」ではなく「期待」に与えた平和賞

同氏によると、大統領になったばかりのオバマ氏に平和賞を授与することは、ノーベル委員会全員一致で決定されたという。その理由は、オバマ氏の過去の業績ではなく、彼が核兵器廃絶に向けて活動することを後押しするためのものだったとした。

そして、ルンデスタッド氏が後悔する理由も、オバマ氏が委員会の期待に応えることができなかったからだとした。

たしかに、当時から、実績のないオバマ氏にノーベル賞を授与することに疑問を持つ人はたくさんいた。オバマ氏の支持者だけでなく、オバマ政権までもが困惑し、「ノーベル賞受賞者が授賞式を欠席した前例はあるのか」などと聞きにきたほどだったという。

ノーベル平和賞の「平和」とは?

ルンデスタッド氏の後悔は、少しピントがズレているようにも見える。

「核兵器がない世界」を理想として掲げるのは結構なことだが、平和は片方が一方的に武装解除することで訪れるものではない。過去25年の間、アメリカやロシアが核軍縮に動いてきたのを尻目に、中国、北朝鮮、そしてイランなどは核武装・核開発を続けてきたのだ。

大川隆法・幸福の科学総裁は、著書『自由の革命』で、次のように提言している。

オバマ大統領が、『ノーベル平和賞』を受賞されたのは結構なことだと思います。ただ、その結果として、アメリカが世界の警察官であることをやめ、退いていこうとしており、世界では紛争が多発し始めました。やはり、彼は成すべき使命を果たしていないのではないかと、私には思えるのです。できるならば、オバマ大統領には、ノーベル平和賞を返還いただきたい。そして、『きちんとやるべきことをやりなさい』と申し上げたいのです。(中略)悪と思えるものに対しては、『抑止力』、つまり、『悪を抑止し、押しとどめる力』が必要だと思っています

実際、オバマ大統領が行ってきた融和政策は、結果として「ならず者国家」を増長させることになっている。

日本の市民団体が今年も「憲法9条」をノーベル平和賞に推薦

一方、去年に引き続き今年も、日本の市民団体が「憲法9条」をノーベル平和賞選考委員会に推薦している。ここにも、「こちらが平和に暮らしていれば、相手も同じようにする」といった楽観論が見られる。しかし、地域や世界の安定と発展に努めてきた日本が「戦えない」のを見て喜ぶのは、中国や北朝鮮のような、侵略的野心を持った国々である。

「平和」を築くには、「正義」が必要だ。アメリカは、「世界の警察官」としての自覚を持ち、悪を抑止する役割を果たし、日本もならず者国家から国や地域を守る気概を見せるべきである。

また、ノーベル委員会も、自分たちが目指す「平和」がどのようなものであるかを再検討する必要があるだろう。(中)

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2013年10月13日付本欄 ノーベル平和賞は本当に平和をもたらすのか

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2014年12月号記事 ノーベル平和賞候補にノミネート-「憲法9条」は人権弾圧を呼び込む - The Liberty Opinion 2

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