台湾は親中姿勢を改めよ 習主席と台湾・国民党主席が会談
2015.05.06
中国の習近平国家主席と台湾与党・国民党の朱立倫(しゅ・りつりん)主席は4日、北京で会談した。中国共産党と台湾国民党のトップ同士の会談は6年ぶり。
習主席「一つの中国」を改めて主張
台湾は、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創立メンバーに申請するも、中国の意向で除外されていた。だが習氏はこの会談で、AIIBへの台湾の参加を歓迎する意向を示した。また、習氏は、台湾が中国の一部だとする「一つの中国」の原則が、中台交流の基礎になると改めて主張した。
台湾では中国に対する警戒感が強まっており、来年の総統選で野党・民進党が政権を奪還する可能性もある。習氏は対中融和を進める国民党に配慮し、独立志向の強い民進党をけん制した形だ。
台湾の民意は「一つの中国に反対」
昨年3月、台湾では馬英九政権が進めていた中国との間のサービス分野の市場開放を目指す「サービス貿易協定」の批准に反対して、学生と市民が立法院を占拠。大規模なデモ活動が発生した。
さらに昨年11月の地方統一選では、与党で親中派の国民党は民進党に惨敗。22のポストのうち、国民党はポストを15から6に減らし、民進党は6から13に増やした。責任をとる形で、馬総統が党主席を辞任している。この結果から、台湾人の間で中国への反発が高まっていることがうかがえる。
国民党は第二次大戦後、中国本土で毛沢東率いる共産党軍との内戦で破れた。そして台湾に逃れ、日本に代わって台湾を統治するようになった。中国は「台湾は中国の一部」と主張しているが、中国共産党政府が台湾を支配したことは、歴史上、一度もない。
民意にも表れている通り、親中姿勢を取ることは台湾にとって安全保障上のリスクとなる。また、もし本当に台湾が中国の一部になれば、普通選挙も言論の自由もなくなるだろう。
自由と民主主義の価値観を共有する台湾を守るべき
台湾は、地政学的に見て重要な位置にある。台湾が中国領となれば、中国は、日本のタンカーも多く通るシーレーン(海上交通路)を押さえ、太平洋に自由に出られるようになる。もしシーレーンを中国にふさがれれば、中東から石油をはじめ日本への貨物が入ってこなくなるため、台湾をとることによって中国の発言力は強大となる。また、中国軍が太平洋に自由に進出し始めればアメリカにとっての脅威ともなる。
現在、アメリカは軍事費の削減などでアジアに対する影響力を低下させているが、日本は、中国の軍事的脅威に対する意識を高め、アメリカと協力して台湾を防衛する決意を固めなければならない。
民主主義や自由という価値観を共有する台湾を、共産主義国家である中国から守ることが大切だ。中国が台湾を呑み込む未来ではなく、むしろ、台湾や香港などを通じてこれらの価値観を中国国民に伝え、中国を民主主義国家に変えていく未来を創るべきだ。(泉)
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