証拠なしでロシアを批判するアメリカ マレーシア機撃墜事件の中間報告書が公開
2014.09.11
ウクライナ東部で、マレーシア航空機MH17が墜落した事件を調査していたオランダ安全委員会はこのほど、中間報告書を公開した。報告書では、「大きなエネルギーを持つ多数の物体」が機体を貫通したことによって機体が墜落したとしつつも、その「実行犯」については触れていない。
しかし、この報告を受けた米国務省報道官のハーフ氏は、「物体」はロシア製地対空ミサイルを思わせる内容だとして、ロシアを批判。同氏が主張するような「ロシア実行犯説」は、マレーシア機が墜落した直後から、欧米のみならず、日本でも盛んに論じられている。今回の中間報告書を報じた読売新聞も、「『ミサイル』断定できず」(9日付)との大きな見出しで報じており、ロシア側が撃墜した前提という印象が強く出ている。
だが、日本ではあまり報じられていないが、別の説を取り上げる海外メディアもある。
マレーシア紙「ニューストレーツ・タイムズ」は、「アメリカ諜報活動専門家が、マレーシア機は航空機に撃墜されたと結論付けた」(8月7日付電子版)との見出し記事を掲載。ルーマニア軍事専門家のバレンティン・ヴァシレスク氏も、ロシア紙「プラウダ」に、「恐らく、ポーランド人が操縦したウクライナ軍機『Mig-29』により、マレーシア機が撃墜された」(11日付電子版)と語っている。
このように、墜落をめぐる説は諸説あり、まだまだ真相解明の途上にある。アメリカはロシア側を犯人と決めつけ、一方的に批判を繰り返すが、肝心の証拠を提示していない。今回の報告書でも、実行犯は分からず、ハーフ氏のコメントも、「ロシア製地対空ミサイルを思わせる」とあくまでも主観に過ぎない。
世界中でアメリカによるプロパガンダが影響力を持つ中、日本のマスコミは、ロシア悪玉論に別れを告げ、真実はどこにあるのかといった視点で冷静に報道するべきだ。(山本慧)
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