プリンストン大学伝統の「無監督試験」、AIによるカンニング横行で終了 ─ 「知的正直」は職業人としての信用の基礎にもなる
2026.05.16
画像: eqroy - stock.adobe.com
《ニュース》
米プリンストン大学で133年続いてきた「無監督試験」が廃止され、今年の夏以降、全ての対面式試験で試験監督の配置が義務付けられることになりました。AIの普及で不正が蔓延していることが背景にあります。
《詳細》
プリンストン大学で無監督試験が始まったのは1893年のことです。当時、試験における学生の不正が横行し、大学側は追加で監督者を雇うなど多大な労力を費やしていました。すると学生の中から、「アメリカ南部の大学では『名誉規定』を採用し、試験前に不正などしないことを『宣誓』している」と、「名誉規定」の導入を求める声が上がりました。
「名誉規定」が導入されると、学生たちは試験前に不正をしないことを宣誓し、不正を発見した学生は、学生が運営する名誉委員会に報告することになりました。名誉委員会は、教授会に対してその学生の停学ないし退学を発議し、最終的な処分が下されます。このように、学生の自己管理や自治を基に「公正な試験」を担保してきた伝統があったのです。
ところが近年は、AIの普及などで不正が横行。ノートパソコンを使っての試験では「別のウインドウに切り替える」、答案用紙に記入する場合は「机の下やトイレでスマートフォンを使う」といった具合で、発見は難しくなっています。4年生を対象とした学生新聞のアンケートでは、課題や試験で不正を行ったことがある学生が3割に達しました。
また、学生が不正を発見しても、SNSでさらされることを恐れて通報を避けるようになっているといい、相当数の学生や教授が試験官の配置を求めていたといいます。今後は教員が試験に立ち会い、不正があれば記録し、学生が運営する名誉委員会に報告、同委員会が教授会に処分を発議して判定が下されるという仕組みになります。
目の前で不正が横行する中、監督の強化などの現実的な対策が必要とはいえ、プリンストン大学で重視されてきた伝統の喪失は波紋を呼んでいます。
《どう見るか》
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