ネパールに迫る中国の経済侵略と「ヒマラヤ貫通鉄道」の悪夢【チャイナリスクの死角】
2026.02.04
国際政治学者
佐久間 拓真
(ペンネーム)
国際政治の中でも特に米中関係、インド太平洋の安全保障、中国情勢を専門にし、この分野で講演や執筆活動、現地調査などを行う。
中国が掲げる巨大経済圏構想「一帯一路(BRI)」が、ヒマラヤの小国ネパールにおいて深刻な「経済的侵略」の様相を呈している。2017年の署名当時、国家発展の起爆剤と期待された中国の資本投下は、今やネパールの主権を蝕む「債務の罠」へと変質し、この国を不可逆的な経済的従属へと追い込みつつある。
ポカラ国際空港に見る「負の遺産」
近年の中国による関与の実態を象徴するのが、2023年に開業したポカラ国際空港である。中国輸出入銀行から約2億1500万ドルの融資を受けて建設されたこの空港は、当初の需要予測を大幅に下回り、国際定期便の就航がほとんどないという惨状を呈している。巨額の維持費と利払いだけが積み上がる現状は、まさに「白い象(無用の長物)」そのものである。
さらに看過できないのは、中国側がこのプロジェクトを事後的に「BRIの成果」と一方的に定義し、ネパール政府の当惑を押し切って実績として喧伝している点だ。これは経済協力を名目に、既成事実化によって小国の外交的選択肢を狭める巧妙な政治工作と言わざるを得ない。
構造的な非対称性と不透明な支配
ネパールの対外債務対GDP比は、近年急激に上昇している。中国からの融資は、世界銀行やアジア開発銀行(ADB)が提供する低利かつ長期の融資とは性質が根本から異なる点に注意が必要だ。
「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
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