手取り額が増える州 vs. 激減する州 共和党系の「赤い州」と民主党系の「青い州」でこんなにも違う!?

2023.04.02

《本記事のポイント》

  • 手取りがもっとも高くなる都市は?
  • 最下位のニューヨーク市では手取りが激減
  • "あの人"が大統領になると、全米が貧乏神に憑かれるかも!?

アメリカで興味深い調査結果が発表された。

金融技術系企業のスマートアセット社が、全米76都市の手取り10万ドル(約1320万円)の税引き後の手取り額(連邦及び州の税や生活費を加味した額)を比較したのだ。

手取りがもっとも高くなる都市は?

手取りが最も高くなる都市の1位に輝いたのは、テネシー州のメンフィスだ。

  • 1位 テネシー州メンフィス市 86,444ドル(約1141万円)
  • 2位 テキサス州エル・パソ市 84,966ドル(約1122万円)
  • 3位 オクラホマ州オクラホマシティ市 84,498ドル(約1115万円)
  • 4位 テキサス州コーパスクリスティ市 83,443ドル(約1101万円)
  • 5位 テキサス州ラボック市 83,350ドル(約1100万円)
  • 6位 テキサス州ヒューストン市 81,171ドル(約1071万円)
  • 7位 テキサス州サン・アントニオ市80,124ドル(約1058万円)
  • 7位 テキサス州フォートワース市 80,124ドル(約1058万円)
  • 7位 テキサス州アーリントン市 80,124ドル(約1058万円)
  • 10位 ミズーリ州セント・ルイス市 79,921ドル(約1055万円)

住宅費などの生活費なども加味した上でのランキングだとされている。テキサス州とテネシー州の都市が上位を占めているのは、2つの州に個人所得税がないことが大きい。代わりに、州議会はパートタイムの議員が務めるなどローコスト路線を徹底する。このように共和党系の「赤い州」は「小さな政府」「安い税金」路線を採っていることが見逃せない点だ。

ちなみにサプライサイド経済学の父であるアーサー・B.ラッファー博士も、カリフォルニア州からテネシー州に脱出している。博士が、テネシー州議員が減税の大切さが理解できるよう説得し続けた結果、テネシー州は州憲法に個人所得税の導入禁止を盛り込むことができた。博士の貢献で「小さな政府」「安い税金」路線が今後も徹底される見込みだ。

最下位のニューヨーク市では手取りが激減

スマートアセット社の分析で最下位となったのはビッグアップルこと、ニューヨーク市だ。

税金と生活費が10万ドルの収入を大きく圧迫した結果、10万ドルの収入があっても、手取りは、たった35,791ドル(約472万円)にしかならないという。

筆者の友人も、手取りが月6000ドル(約79万円)になると聞いて就職したものの、ニューヨーク市勤務になったため、手取りは月3500ドル(約46万円)と予想より低く、「こんなはずではなかった」と嘆いている。

それもそのはず。ニューヨーク市の場合、連邦の個人所得税に加えて、州および市の所得税も納めなければならず、税率が全米で最も高いことで知られている。高い生活コストも併せると、手取りが大きく目減りしてしまうのだ。

以下はスマートアセット社が発表したワースト10である。

  • 1位 ニューヨーク州ニューヨーク市 35,791ドル(約472万円)
  • 2位 ハワイ州ホノルル市 36,026ドル(約476万円)
  • 3位 カリフォルニア州サンフランシスコ市 36,445ドル(約481万円)
  • 4位 ワシントンDC 44,307ドル(約585万円)
  • 5位 カリフォルニア州ロングビーチ市44,623ドル(約589万円)
  • 5位 カリフォルニア州ロサンゼルス市 44,623ドル(約589万円)
  • 7位 カリフォルニア州サンディエゴ市 46,167ドル(約609万円)
  • 8位 カリフォルニア州オークランド市 46,198ドル(約610万円)
  • 9位 マサチューセッツ州ボストン市 46,588ドル(約615万円)
  • 10位 ワシントン州シアトル市48,959ドル(約646万円)

ご覧の通り、ワースト10にランクインするすべての州が民主党系の「青い州」の都市である。

だが、そんな州政府の収奪に、アメリカの国民は唯々諾々と耐える必要はない。憲法で移動の自由が定められているので、所得税率が0%のテキサス州、フロリダ州、テネシー州に引っ越せばいいのだ。国民が青い州を脱出し、こぞって赤い州に向かう背景には、こんな背景がある。

"あの人"が大統領になると、全米が貧乏神に憑かれるかも!?

注目すべきは、ワースト10にカリフォルニア州の5つの都市がランクインしていることだろう。

カリフォルニア州経済はアメリカで最大規模の約3.6兆ドル(475兆円)を誇る。諸外国の国内総生産と比較しても、イギリスやフランスを抜き世界第4位のドイツに迫る勢いだが、テスラのCEO イーロン・マスク氏が本社機能をテキサスに移動させるなど、フォーチュン1000にランクインする企業350社が次々と脱出している。

内陸部と比べ物流環境などが極めて良好だが、その地の利の良さが重税や規制等で失われつつあるためだ(詳しくはザ・リバティ5月号「日本人の知らないアメリカの地殻変動 民主党系の青い州から共和党系の赤い州へ『大脱出』が始まった!」をご覧いただきたい)。

州知事のギャビン・ニューサム氏は、バイデン大統領が2024年の大統領選に出馬を表明しなければ、民主党の大統領候補に名乗りを上げる可能性があると目される人物である。

彼が大統領になれば、典型的な青い州の経済政策を全米で行うことになる。それは全米が貧乏神に取り憑かれる未来になりそうだ。

【関連書籍】

『減量の経済学』

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『「大きな政府」は国を滅ぼす』

アーサー・B.ラッファー 著/ザ・リバティ編集部 訳 幸福の科学出版

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『ザ・リバティ』2023年5月号

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タグ: アーサー・B.ラッファー  手取り額  アメリカ  生活費  民主党  税率  経済政策  所得税 

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