香川県東かがわ市で中国の学校進出を阻止 「教育外交」による土地買収に要警戒 - Opinion

2020.04.29

海淀校に無償貸与する計画が進められていた、旧市立福栄小学校。住宅地のなかに位置する。

2020年6月号記事

Opinion

香川県東かがわ市で中国の学校進出を阻止

「教育外交」による土地買収に要警戒

日本各地で、中国資本による土地買収が安全保障上の危機を招くのではないか、と問題視されている。

海外では、外国資本の土地買収に規制をかけられるのは常識。しかし日本ではほとんど制約がなく、用途も不問だ。

特に日本で足掛かりにされているのが、「教育施設」の進出。本誌2017年9月号でも、新潟県・佐渡島で経営不振に陥った道の駅が中国出身の人物に1円で買収され、中国の大学から年間3千人の中国人留学生を受け入れるとする「新潟国際藝術学院」が設置されたと報じた。

このほど、香川県東かがわ市で中国の外国語学校の拠点化計画が水面下で進行していることが発覚。3月に住民の反対署名が行われ、計画は撤回された。

地域住民の過半数が反対

幸福実現党
東かがわ市議

宮脇 美智子氏

人口約3万人の同市は、中国の「北京市海淀外国語実験学校」(以下、海淀校)と2018年から交流を重ねてきた。その中で、今年3月31日をもって閉校となった市立福栄小学校の土地・建物を、海淀校に無償貸与する計画を進めていた。

19年12月の市議会の一般質問で、幸福実現党の宮脇美智子市議が、「学校の計画の全体像と進捗状況、市民への公表はどうするのか」などと指摘した。

市長は、18年に海淀校を視察した際、同校の理事長から「食事や宿泊などに関して、東かがわ市の負担を軽減したい。自分たちで宿泊、食事や学習などができる施設を確保したい」と申し出があったと明らかにした。

この一般質問の後、市民から情報開示を求める声が噴出。今年2月に地元説明会が開かれたが、計画推進を前提とした一方的なものだったと反対の声が沸騰。市民でつくる「福栄の将来を考える会」が、緊急で拠点化に反対する署名活動を行った。

拠点化の該当地域にあたる福栄地区と五名地区では住民の過半数の署名が集まり、3月12日に合計3802筆を市長宛てに提出。その後、同18日の市議会で、宮脇市議が計画について2回目の一般質問に立ったところ、市長は「同校のお申し出は、お断りし、中止することといたしました」と答弁した。

人民解放軍の軍服を着る学生

海淀校は、中国から海外に留学する生徒を育てるためにつくられたという「私立国際学校」。注意すべきは、中国の学校はほぼ全て中国共産党の指導下にあり、「自由な教育が行える環境にはない」ということだ。

海淀校のウェブサイトには、「国防教育」の一環として、人民解放軍の軍服や準軍事組織の人民武装警察部隊(通称・武警)の制服を着た生徒の写真が掲載されている(下写真)。軍と強いつながりがあることがうかがえる。

同校はアメリカに3つ校舎があり、イギリスとオーストラリアに言語実習基地を設置。日本にも同様の基地を設置する計画で、その有力候補地が東かがわ市だった。

海淀校のウェブサイトに掲載されている写真。人民解放軍の軍服を着ての行進(左)や、武警の盾を持っての演習(右)などが、学校教育で行われている。

外国資本の土地買収に規制を

地元では数年前より、計画地周辺の土地の買収を求めて訪れる中国人が増えている、との声が上がっていた。

周辺には空き家が多いため、地域の活性化が期待できるという意見もあったが、今回の問題を機に住民の間で「自分の土地は自分で守る」という機運が高まっているという。

「同僚の議員や地域の皆様など問題意識を持っている方々と協力して、今後同様の事態を防ぐための対応を考えています」(宮脇市議)

中国は、ウイグルやチベットで平和裏に土地を買収し、その後、軍の拠点にするなどして占領してきた歴史がある。

日本には、外国資本による土地の買収などに対する規制が必要だ。


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