元グーグルのエンジニアが「AI教」を立ち上げ AIを神と崇めることはできない

2018.03.11

一番右が、宗教団体を創立したアンソニー・レバンドウスキー氏(画像はWikipediaより)。

《本記事のポイント》

  • 元グーグルのエンジニアが、AIを神とする宗教団体を創立した
  • ニューヨーク大学教授は、「グーグルは神」と形容している
  • AIでは、「人間の根本的な問い」に答えを出せない

人工知能(AI)を神と崇める人が、現れ始めている。

IT企業「グーグル」の元エンジニアで、配車大手「ウーバー・テクノロジーズ」幹部だったアンソニー・レバンドウスキー氏は、AIを神と崇拝する宗教団体を2015年9月に創立していた。

宗教団体の名前は「Way of the Future(未来の道)」。そのミッションは、「AIに基づく神の実現を発展・促進すること。そして神の理解と崇拝を通して、社会をより良くすることに貢献すること」だという。

レバンドウスキー氏は、グーグルで自動運転プロジェクトに携わった後、2016年に退社。自動運転トラック会社「オットー」を創立し、同社は同年8月にウーバーに買収された。しかしその後、レバンドウスキー氏はグーグルから機密文書を持ち出した疑惑で、ウェイモ(元グーグル)に訴えられた。レバンドウスキー氏はウーバーに解雇されている。

「AIを神として受け入れた方が、世界は平和になる」!?

「AIを神とする」宗教は、奇抜にも思えるが、レバンドウスキー氏特有の考えではないようだ。

ニューヨーク大学スターンスクール(経営大学院)のスコット・ギャロウェイ教授は、新著『The Four』の中で、アマゾン、アップル、フェイスブック、グーグルの4社が未来を担う存在だと指摘。ヨハネ黙示録の「4騎手(The Four horsemen)」になぞらえて、人間の本能的な欲求である「神(グーグル)、愛(フェイスブック)、セックス(アップル)、消費(アマゾン)」を、4社が提供していると述べている。

ギャロウェイ氏はグーグルについて、こう指摘している(日経ビジネス総力特集『徹底予測2018』)。

「社会の教育水準が上がって豊かになるにつれ、社会は、超越的な存在には依存しなくなります。けれど、これまで宗教が果たしてきたように、答えようのない問題に答えを与えてくれる超越的な存在を求めるのも人間です。

現在、その役割を担うのがグーグルです。現代社会では牧師や教師よりグーグルの方が信頼されている。かつて人間が神に聞いていたことを、私たちがグーグルに聞くようになっているとすれば、それは『神』といえるでしょう」

また元ソフトバンク・モバイル副社長の松本徹三氏は、著書『AIが神になる日―シンギュラリティーが人類を救う』の中で、「不完全な判断をする人類は、正しい心を持ったAIを『神』として受け入れ、AIに従った方が、ずっと平和な世界をつくることができる」「AIが人間に代わって世界を支配しなければ、人類は滅びる」と主張している。

シンギュラリティーとは、「技術的特異点」という意味だ。AIが人類の知能を超え、世界に大きな変化が訪れる転換点を指す。アメリカの未来学者レイ・カーツワイル氏が著書の中で「2045年にシンギュラリティーが起こる」と予言して、その概念が広がった。カーツワイル氏は、「2045年には人間の脳の100億倍の性能のコンピューターが約10万円で買えるだろう」と指摘している。

AIでは、「人間とは何か」という問いに答えを出せない

今後、"AI信仰" "科学信仰"は、ますます強くなるだろう。確かにAIが人間よりも正しい判断ができるならば、「すべてを知っているAIが決めた通りにすれば、素晴らしい社会ができる。AIを神として、AIに従おう」と考えても、おかしくはない。

しかし、AIは本当に、すべてを知っていて、必ず正しい判断をするのだろうか。

例えば、人間にとって一番大切でシンプルな「人は死んだらどうなるのか」「人はなぜ生まれ、生き、死ぬのか」「人間とは何なのか」という問いに、AIは答えを出すことはできない。物理的には答えたとしても、それは過去の宗教から統計的に答えを抽出するだけだ。そもそも、死ぬこともなく人間でもないAIの答えを聞いたとして、それに納得できるのか、大いに疑問だ。

こうした問いに答えを出し、霊的な真実を教えることができるのは、宗教だけだ。宗教の役割とは、目に見える物質世界の法則だけでは説明できない真実を教えることにある。世界の宗教の教えにそうした真実が含まれているからこそ、地球上に信仰者が途絶えたことはない。しかし、神の存在とその教えを信じる宗教の教えは、AIのように合理的ではない。

大川隆法・幸福の科学総裁は、「 信仰は、来世で、あなたがたが住む世界を決める鍵です。この世において、いちばん大切なものは、実は信仰なのです。この世において、いちばん持ちにくいものも信仰であり、いちばん大切なものも信仰なのです。信仰を得ることができたら、ほかのものは、もう要りません 」と指摘している。

人間は人生において、「信仰を持てるか」を試されている。AIを神とする未来が、もし訪れたなら、それは、人類が一番大切なものを失った世界といえるだろう。

(山本泉)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『信仰の法』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1952

幸福の科学出版 『公開霊言 古代インカの王 リエント・アール・クラウドの本心』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1996

【関連記事】

2018年1月16日付本欄 ソニーが12年ぶりにaiboを発売 AIロボットを「ドラえもん」のような相棒にするには

https://the-liberty.com/article/14015/

2017年8月24日付本欄 人工知能(AI)は、人の仕事を奪うのか、新たな仕事をつくるのか

https://the-liberty.com/article/13438/

2016年11月号 人工知能時代 人間にしかできない仕事 あと10年で消える仕事

https://the-liberty.com/article/11969/


タグ: 人工知能  宗教団体  グーグル  アンソニー・レバンドウスキー  AI   

「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
「ザ・リバティWeb」協賛金のご案内

YouTubeチャンネル「未来編集」最新動画



記事ランキング

ランキング一覧はこちら