国連人権理事会の矛盾を指摘するトランプ大統領 日本も国連の歴史認識を正す発信力を

2017.09.23

米ニューヨークで開かれた国連総会で一般討論演説をするトランプ米大統領(Drop of Light / Shutterstock.com)。

《本記事のポイント》

  • トランプ米大統領が国連で、人権理事会の理事国に中国やサウジが含まれていることに疑問を呈した。
  • 日本が負担する国連分担金は世界二位。しかし、いまだ常任理事国への加盟はできていない。
  • 日本は中国・韓国が世界へ広める誤った歴史認識を正し、正当な発信力をつけるべき。

トランプ米大統領の国連総会での一般討論演説は、「トランプ節、炸裂」だった。

ただ、演説で最も注目されているのは、「北朝鮮を完全に破壊する」と発言した部分だ。一方、トランプ氏が国連人権理事会の矛盾を突く発言をしたことは、あまり注目されていない。

トランプ氏は北朝鮮に関する演説で、北朝鮮に約1年半にわたって拘束され、今年6月にアメリカに帰国後急死した米国人大学生のオットー・ワームビア氏や、北朝鮮に拉致された日本人の話題に触れ、北朝鮮による人権侵害を厳しく追及した。

また、国連人権理事会の問題点として、「理事国には、過去に国内の人権状況を批判された国々が含まれている」とし、これは国連にとって「大いなる恥だ」とも述べている。

人権については世界共通の価値観がある

「過去に国内の人権状況を批判された国々」とは、公開処刑や女性への石打ち刑などが批判されているサウジアラビアや、人権活動家が"政治犯"として投獄される中国などを指すとみられる。自国で人権を侵害しているにもかかわらず、人権理事会の理事国であることは矛盾しているという指摘だ。

ヘイリー米国連大使も今年6月、スイス・ジュネーブで行われた人権理事会での演説で、「米国は人権理の権威を再建しようとしている」と述べていた。トランプ氏は国連改革を進める中で、北朝鮮や中国、サウジアラビアなど、人権を侵害している国への圧力を高めていくとみられる。

大川隆法・幸福の科学総裁は、著書『トランプ新大統領で世界はこう動く』の中で、「アメリカが『強さ』を取り戻すこと」で人権を守る世界を実現できるとしている。

世界には覇権国家がいくつか並び立つことがありますが、人権についての主たる価値観は一つでなければなりません。すなわち、『民主主義』、『自由』、『世界に繁栄をもたらす方法』、『悪しき国家の専制政治を防ぐこと』などです。アメリカは他国と協力すべきであり、再び「世界の警察官」の役割を担うべきであると思います

トランプ氏は18日、自ら主宰した国連改革をテーマにした会合において、「官僚主義や不適切な運営で、その潜在力を発揮できていない」と苦言を呈していた。ビジネスで成功を収めてきたトランプ氏が、国連を「仕事ができる組織」に改革していくことを望みたい。

戦勝国によってつくられた国連

国連人権理事会と同様に、国連安全保障理事会の理事国も、見直しが必要だ。

日本が支出する国連分担金はアメリカ(約5億9400万円)に次ぐ第2位(約2億3700万円)。それでも日本はまだ常任理事国入りを果たしておらず、国連における発言力は低いままだ。

「国連」の生い立ちを見れば、日本やドイツが常任理事国に加盟できない理由が分かる。現在の国連は、第二次大戦の際に、戦勝国である連合国側が敗戦国を抑えこむ形でつくられた。現在の国際環境は劇的に変化しているが、常任理事国(アメリカ、中国、イギリス、フランス、ロシア)は見直されていない。国連創設当時には想定できなかった国際情勢の変化を踏まえれば、戦勝国体制も見直すべきだ。

「自虐史観」が日本の国連常任理事国入りを阻んでいる

日本は、国連で誤った歴史認識が広まることによって、不当な扱いを受けている。

日本を敵対視する中国や韓国は、国連で南京大虐殺や従軍慰安婦などの「ねつ造資料」を世界記憶遺産(現・世界の記憶)に申請、「日本人はいかに非人道的な人種か」ということを喧伝してまわっている。

11月にジュネーブで開かれる国連人権理事会でも、日本が審査対象国になると見られている。ここでは、慰安婦や徴用工をめぐる歴史問題が人権問題として取り上げられる。だが、これらは歴史的な事実ではないことが日本国内外の資料でも証明されつつある。また、サウジアラビアや中国に追及する資格はないだろう。

大川隆法・幸福の科学総裁は、この問題について、著書『国を守る宗教の力』の中で、次のように述べている。

私は、『客観的に見て、日本が国連の常任理事国入りをするのは当然である』と考えています。それを阻んでいるものは、自虐史観、すなわち、自分たちの国を『悪なる国家だ』と見るような歴史観です

中国や韓国が国連の場で主張している嘘を、日本の首相が「ねつ造だ」と主張できないのも、自虐史観と無関係ではない。日本の国民一人ひとりの心に根付く自虐史観を払拭することは、日本の国益を守るために不可欠だ。もしこれからも日本政府が国連分担金の支払いを続けるのであれば、それに見合った発言力、影響力を行使する必要がある。

日本の首相も、「トランプ節」をある程度見習うべきではないか。

(小林真由美)

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タグ: 北朝鮮  歴史認識  国連人権理事会  常任理事国  トランプ大統領  分担金  人権 

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