オバマ大統領が日系人強制収容を例にイスラム教徒差別反対 戦勝国史観も反省を

2015.12.17

第二次大戦中に日系アメリカ人が収容された収容所のひとつ、マンザナー強制収容所(Wikipediaより)。

オバマ大統領は15日、ワシントンで開かれた移民の国籍取得を祝う式典で演説し、第二次大戦中に日系人が強制収容されたことを例に出して、イスラム教徒などに対する偏見に反対するよう呼びかけた。

過去の過ちを決して繰り返さない

パリ同時テロ事件以降、「イスラム国」が「次はワシントンだ」と名指しで警告したり、カリフォルニア州での銃乱射事件が起きたこともあり、アメリカ国内ではテロへの不安が高まっている。同時に、イスラム教徒に対する憎悪や偏見が広がり、イスラム系団体に不審物が届くなど、差別や脅迫が相次いでいる。

こうした中、オバマ大統領は演説で「第二次世界大戦中には、アメリカの暗い歴史のひとつとして、日系人が強制的に収容所に入れられた」と述べた。そして、「われわれはもう1度、過去の過ちを決して繰り返さないと決意する必要がある」として移民やイスラム教徒への偏見に反対することを訴えた(16日付NHK NEWS WEBより)。

アメリカ初の黒人大統領であるオバマ氏の就任以降、アメリカでは人種差別の酷さを描いた映画が製作されるなど、人種差別問題に対して反省が始まっているようにも見える。オバマ氏自身も人種差別反対の発信を続けている。

アメリカの人種差別と戦った日系二世の弁護士

先月には、アメリカで一般市民として最高位となる「大統領自由勲章」の授与式があったが、授与された一人に日系二世の弁護士、故ミノル・ヤスイ氏が選ばれている。

ヤスイ氏は第二次世界大戦中、日系人に対する夜間外出禁止令や抑留に抗議し、強制収容所にも入れられた経験を持つ。大戦当時、12万人もの日系人がアメリカ政府によって収容所に送られた。中でもアメリカ西海岸とハワイの一部の地域に住む日系人は、7割がアメリカ生まれの二世で市民権を持っていたにも関わらず、強制立ち退きを命ぜられた。

ヤスイ氏は戦後も強制収容所の違憲性を訴え、日系人の補償獲得のために戦った。オバマ大統領は彼を、「日系人に対する疑い、敵意、強制移住、抑留という苦難があったにもかかわらず、この国の約束を信じ、全ての市民の平等や正義のために闘うことを決してやめなかった」などと称賛した。

オバマ大統領の言う「同じ過ちを繰り返さない」ためには、歴史を直視し、反省しなければならない。

今、アメリカは第二次世界大戦を「民主主義vsファシズム」の戦いであり、日本は悪だったとしている。しかし、日本は、アジアを欧米の植民地から解放することを掲げて戦ったというのが真実である。人種差別による悲劇、ひいては戦争の悲劇を繰り返さないためには、戦勝国史観の見直しも含めたアメリカの反省が必要になってくるだろう。

(HS政経塾 油井哲史)

【関連書籍】

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タグ: オバマ  違憲  テロ  ファシズム  イスラム国  強制収容所  人種差別 

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